現代のベーシックを再考する。【ALDEN】

ライフスタイルの変化や時代の経過の中で、変わることなく輝きを放ち続ける靴。そんな現代のマスターピースをピックアップした。

木型上でのインサイドとアウトサイドの形状差が大きいモディファイドラスト。 ダービースタイル、さらにV型に見えるモカステッチの意匠は木型形状の特殊さをデザインでカバーしているともいえる。

モディファイドラストの代表的モデル。

Alden : 54321 Algonquin Oxford

 そのモカステッチの形状から「Vチップ」とも呼ばれる、エプロンフロント、ダービータイプの靴。木型は基本的にモディファイドラストが使われる。ウエスト(土踏まず)部分を内側にえぐって細くし、全体的に内振りな形状を持つモディファイドラストは、各種のラストでさまざまなタイプの足に対応しようとしていたオールデン社ならではのもの。ハイアーチの足に向けて、甲部をホールドし、足前部(足指部)に空間を感じる独特なフィッティングを持つ。アメリカではモディファイドラストの靴はカーフレザーが中心だが、日本やヨーロッパではコードヴァンを使ったものも多い。パリのセレクトショップ『アナトミカ』がいち早くモディファイドラストのコードヴァン別注を展開した。丸みあるシルエットと、独自の履き心地でモディファイドラストは日本でも主流に。その中でもこのスタイルは人気となった。

Data
ブランド オールデン
モデルアルガンコン・オックスフォード
展開アッパーカーフ(ブラック)、
コードヴァン(ブラック、#8バーガンディ)
ソールグッドイヤーウェルテッド製法、
レザーソール
展開サイズ5H〜11
価格¥124,000

オールデンの中でも比較的細身といわれるアバディーンラストを使用。このモデルが生まれた1950年代〜60年代は、ローファーなどカジュアルな靴がアメリカのマーケットに多数登場し、日本ではアイビー、トラッドの文脈で広がった。

タッセルローファーのルーツ。

Alden : 664 Tassel Loafer

 このスタイルを既製靴として広く知らしめた担い手は、オールデン、さらにオールデンが靴づくりを担っていたブルックスブラザーズだろう。アメリカの俳優ポール・ルーカス氏は、自身がヨーロッパでオーダーしたレースエンドにタッセルがついた靴をニューヨークの靴店『Farkas & Kovacs』に持ち込み、これをもっとシンプルにした靴がつくれないかと相談した。同店は要望に合った靴を仕上げたもののフィッティングに難があり、さらにルーカス氏はNYとビバリーヒルズの2軒の店に相談する。それらの店が制作を依頼したのがオールデン社だった。1950年にオールデンはタッセルローファーの生産を開始。その後1957年にはブルックスブラザーズが踵部にステッチを配した別注モデルを展開して、この靴はアメリカのエスタブリッシュの足元を飾る存在となった。

Data
ブランド オールデン
モデルタッセルローファー
展開アッパーコードヴァン
(ブラック、#8バーガンディ)
ソールグッドイヤーウェルテッド製法、
レザーソール
展開サイズ5H〜11
価格¥124,000

information contact
ラコタ tel.03-3545-3322


photographs_Takao Ohta
styling_Tomohiro Saito
text_Yukihiro Sugawara
○雑誌『LAST』 vol.18(2019年11月発行) 『現代のベーシックを再考する。』より抜粋。

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