ドレスシューズの担い手たちが追求する、ドレスとリラックスの融合の実際とは。具体的な取り組みを取り上げ、そこに込められた思いや創造性を考察する。
『ユナイテッドアローズ』 快適で〝上品さ〞のあるスタイル。
かかとがある使いやすいグルカサンダルを。
「ウィークデイとテンションが変わらずに、ウィークエンドもリラックススタイルとして履けるサンダルを」と、靴と変わらない着用感を意図して、グルカサンダルをあえてかかとのあるデザインに。パンツからデニムまで、上品さを失わず程よいカジュアル感で合わせられる。
「現状は、ひと昔前のリラックス感とは違うと思います。快適なこととドレスシューズであること、そしてクラシックなことの関係性は時代の流れとともに変わっています。そこに向けて、いろいろなアプローチをトライしています」。こう語るのは、ユナイテッドアローズチーフバイヤーの内山省治氏。ユナイテッドアローズで展開しているオリジナルシューズの企画、そして靴のバイイングを担当している。
履いた時にストレスを感じないつくりを目指す
2015年より展開されているイタリアメイドの「ユナイテッドアローズ 」 オリジナル。「オーセンティックなスタイルがベースになっているのは確かですが、今の時代の気分に即した革靴を志向しています。そこにはコンフォート性が大事です。スニーカーの履き心地に慣れた人もいれば、機能性ソールの革靴も数多く登場していて、さまざまな基準がある現状です。そこで、革靴としてのしっかりとした足あたりはありつつも、履いた時にストレスを感じないような木型やつくりを目指しています」と語る内山氏。キャップトウのオーセンティックなモデルがある一方、グルカサンダルやビットローファー、さらにはミュールタイプのタッセル付きサンダルなど、まさにリラックス感を盛り込んだドレス系モデルが多く展開されている。実は当初手がけたのは、こうしたカジュアルなスタイルだった。「ドレスウェアにおけるリラックススタイルの提案として、企画時点でそういうものがなかったのでつくりました」(内山氏)。彼自身価値観が一致していると語るイタリアのシューズメーカーと、アイデアレベルから協業して形にしていった。さらに、彼自身がバイイングしている「ソロヴィエール」についても「オーセンティックをベースに、今の時代のリラックスを表現している」と共感するという。そして次のように言葉を継いだ。「企画し買い付けているものにひとつ筋が通っているとすれば、それは〝上品さ〞だと思います」 。
『ユナイテッドアローズ』春の足元に装いたい洗練されたリラックスシューズ
スリップオンがドレス寄りに拡がる革靴の可能性。
「スリップオンのタイドアップスタイルが市民権を得る一方、カジュアルスタイルの靴はより幅広くなっている」と内山氏。そこで登場したミュールタイプのサンダル。スニーカーなどでは出しにくい、革靴が持つ上品さ、洗練さが盛り込まれているという。
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ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館
tel:03-3479-8180
photographs_Takao Ohta
〇 雑誌『LAST』 issue.12 より