「FAVOURITE OUR SHOES」愛用の靴、愛着の靴。①-ファビオ・アッタナシオ氏 『ヴェラスカ』

「LAST」が靴の達人へ、愛用している靴について語っていただく連載企画

靴は、それ単体では、不完全な美といえる。持ち主が装いにあわせて選び、足を入れ、さまざまに活動する中で、靴は次第に輝きを放っていく。持ち主が愛着を持つ靴であれば、その存在感は格別だろう。逆に、貧相な印象を受けるとするなら、その靴と持ち主の関係が、冷えきっているのかもしれない。サスティナビリティや、カジュアル化などの趨勢の中で靴、特に革靴をめぐる状況は穏やかではない。そんな時こそ、革靴本来の美しさを、再認識したい。本特集は、LASTが靴の達人と考える方々に、愛着ある、または愛用している靴を、挙げていただくシリーズ企画である。

ファビオ・アッタナシオ氏(インフルエンサー/プロデューサー)。靴とパンツは素材のテイストをあわせてコーディネイト。

メンズクラシックスタイルについて書かれたブログ「The Bespoke Dudes」を主宰し、同名のアイウェアブランドなどプロデューサーとしても活躍するファビオ・アッタナシオさん。200足以上の靴を所有し、靴に関しても造詣の深い彼がたどり着いたのは、やはり自分でプロデュースした靴だった。

彼は『エドワード・グリーン』、『サントーニ』、『オールデン』などとともに以前から好きだった靴ブランド『ヴェラスカ』とのコラボで、2016年からカプセルコレクションをスタート。このモデルの特徴はトゥの部分がそり上がらず、フラットに地に着いたバルケッタスタイル。往年の『ガット』を連想させるようなデザインだ。そして、アッパー部分が長くなるように工夫されており、それに合わせてヒール部分も1㎝ほど長くつくられている。それによって靴は美しく洗練されて見えると彼は考える。

伊・マルケ州で靴工房を家業として営んできた9人の若い末裔たちが2014年に始めた『ヴェラスカ』。手作業にこだわる靴づくりを続ける。これはノーズ部分が長く見えるようファビオさんと協業したモデル。

今日はその『ヴェラスカ』カプセルコレクションの茶のスエード靴を、ジャケパンに合わせてカジュアルにコーディネイト。「両方ともマットな感じでバランスがよいので、スエードの靴にフランネルのパンツを合わせるのが好きです。そしてジャケットの色と靴の色を合わせています」

ジャケットは『ダル・クオーレ』のス・ミズ―ラ、パンツは『エドアルド・デ・シモーネ』。ジレは自身がプロデュースする『ザ・フリース』、ネクタイはヴィンテージ生地を使った『パッサージョ・クラヴァッテ』。

Fabio Attanasio(ファビオ・アッタナシオ) プロフィール
インフルエンサー/プロデューサー
ナポリ生まれ。2012年、ブログ「ザ・ビスポーク・デュードス」を開始し、世界的なインフルエンサーに。2015年、同名のアイウェアブランドの共同創設者として事業を開始。その他、様々な分野でプロデューサーとしても活躍中。

photographs_Stefano Triulzi, text_Miki Tanaka
〇 雑誌『LAST』 issue.20 より

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