「お米のオイル」が実現するベーシックケアを知ろう

 『GMT FACTORY』の冨樫輝好氏がガイドする、革に優しいとはクリームとは。

[『LAST』issue.17(2019年11月)初出]

代々木上原駅に直結している駅ビルの中に「GMT FACTORY」がある。一間ほどの小さなドアは気をつけないと通り過ぎてしまいそうになるが、入るとそこは別世界。たぶん東京一の品揃えの靴ひも群と、しっかりと吟味された良品のシューケアプロダクトが靴好きを迎えてくれる。ここは『トリッカーズ』や『ジャラン・スリウァヤ』を輸入販売するGMTが経営するケア&リペアショップだ。

今回教えを乞うたのは、革と対話するようにコンディションを確認しながらケアを行う冨樫氏。開発から携わって「意見を100%反映させた」という自信作、米糠から作ったライスクリームを使って磨く2種類の方法を教えてもらう。

日本では昔から米糠を入れた布袋で建具や床などを磨く伝統があった。自然の油が醸し出す優しい光沢、また肌に触れても大丈夫な安全性の高さに惹かれて、シュークリームにこの素材を選択したという。

「植物由来がいいと思ったんです。最近はワークショップをすると半分が女性。彼女達は男性よりもプロダクトそのものに対してシビアな意見を持っているように感じます。そんな目線に立って作りました。品質はもちろんのこと、のびがよく、肌に優しくて、匂いもないのが特長です」

加えて、このクリームの開発には裏テーマがあった。それは“国産”であること。品質のよさでは海外ものにもう負けていない日本プロダクトの周知を目指し、将来は輸出することも視野に入れている。

_店にあったケアプロダクトの素材。左から合成ワックスのモンタン、光沢が強いヤシ油のカルナバ、ケア用にホホバオイル。匂いもチェック。左下_クリームは乾燥が早く、使い切る前にダマになったり、ひび割れたりするのが悩みだった。右下_そこで新製品はビギナーでも扱いやすいローションタイプに。口径が狭く気密性が高いため、乾燥や変質しにくいボトルでの販売を決めた。