「MTO(メイド・トウ・オーダー)」は、サンプルスタイルをもとに、サイズや素材、仕様などを選んで靴をオーダーメイドできる形。 近年各個人が自身にとってより価値のある靴を求める傾向が強まる中で、このMTOが注目されている。 そこでこの連載企画では、日本の靴の担い手たちが展開しているさまざまなMTOの靴づくりを紹介する。
より合理的なオーダーメイドのアプローチ。『ギルド』のShoes Made to Order。
1996年に創業し、日本におけるビスポーク/ハンドメイドシューズの文化を牽引してきた、山口千尋氏の靴店『ギルド・オブ・クラフツ』。現在浅草の店舗兼工房にてハンド&オーダーメイドの靴づくりを展開しているが、MTOも2000年ぐらいから取り組んでいる。
以前靴店『トレーディングポスト』と協業していた際に、スタッフの対応等店舗で取り扱える注文靴のあり方として考案された。現在MTOはフィット3パターン(ES・S・M)、トウシェイプ6パターンの木型バリエーションがあり、靴のデザインは30種類以上から選ぶことができる。
木型調整のない「クラシック」と木型調整のある「プライム」のカテゴリーは、足の状況次第でどちらか選ばれることが多い。製法はハンドソーンウェルテッド+マシンアウトステッチ(9分仕立て)で、ダイナイトなどのラバーソールも選択可能。
オーダーのプロセスは、まず簡易的な採寸を行なって木型(フィット)を決めて、フィッティングシューズを履き確認。木型調整が必要と判断された場合には、さらに透明な「フィットシェル」を履いて、靴内部の足の状況を確認する(この時点で「プライム」になる)。繊細なフィッティングを要するローファーなどは原則的には「プライム」での対応。また木型調整を行う場合には、途中でフィッティングの確認がある場合も。
なお『ギルド』ではオリジナルのラストを作成するビスポークも「クラシック」「ヘリテージ」「プリヴィレッジ」「マスターピース」の4カテゴリーに分かれていて、顧客のニーズに応じた段階的な提案になっている。
最近人気が高まっているという3 アイレットのチャッカブーツ「スナッフィー」。丸みのある羽根のラインが特徴。今季はアンクル丈のブーツが注目。
コンスタントに人気があるというジョッパーブーツ「ジャスパー」。スマートな木型形状がより強調されるスタイルといえる。「プライム」カテゴリーでオーダー可能。
PRODUCT SPEC
▼製法
ハンドソーンウェルテッド、マシンアウトステッチ(9分仕立て)
▼オーダー概要
簡易的な採寸の後、フィッティングシューズを着用し、さらにチェックが必要な場合はフィットシェルを履いて、適合する木型やサイズを選択。木型修整(乗せ甲)もあり(有料)。デザインによっては仮縫いがある場合も。
▼ソール仕様
レザーソール、各種ラバーソールもあり
▼納期
注文より11ヶ月
▼付属品
シューバッグ、ボックス。英国製シューツリー別売り(¥16,500)
▼価格
クラシック ¥132,000~、プライム ¥154,000~
photographs_Takao Ohta
〇 LAST issue21 より
Guild of Crafts
住所:東京都台東区浅草6-19-4 ヤマヨシビル2F
電話:03-3563-1192
HP:http://www.guild.tokyo/propheelhome.html
営業:12:00~18:00 水・日休
備考:完全予約制(前日まで連絡を)