「土屋鞄」革製品のリユース事業に本格参入

革製品を製造販売する老舗、土屋鞄製造所は、古くなった自社の革製バッグを無料で引き取り、職人が修理して再販売するリユース事業に2022年6月から本格参入する。

“修理専門”の職人が作業する様子。革の風合いなど経年変化で、全て異なる“一点物”、中には、限定生産品や廃番品などのレアアイテムも。

自社バッグを引き取り、専門の職人が修理し再販売する。

毎年、製品を引き取る期間を設け、修理した製品を店頭にて期間限定で再販売。価格は最大で定価の半額に設定。販売後は、新品と同様の返品保証・修理サービスを付け、アフターサービスも万全の体制を整える。

集めた製品は、リユース専門の職人が東京・西新井の工房で丁寧に修理、メンテナンスを実施する。バッグの状態に応じて、クリーニングや保革、補色といった革のメンテナンスのほか、内装の張り替えや破損パーツ(ファスナー等)の交換、糸のほつれ直しなどを行う。バッグの提供者には1回の引き取りにつき土屋鞄の全店舗とオンラインストアで大人向け鞄の購入時に利用できる20%の割引クーポンを用意し、買い替えを検討する人向けのメリットもある。

引き取った製品(ビフォー)と修理後(アフター)の比較

今年の製品の引き取りは、2022年6月と10月の計2カ月間行い、全国14店舗と配送で対応。販売は2022年9月から12月にかけて2回、一定期間を設ける予定で、東京と大阪の2店舗で行う。2023年以降は、リユース対象製品をバッグ以外の財布やキーケースといった小物にも広げていく計画のほか、引き取りと販売の期間延長、販売店舗の拡大、他社の革製品の取り扱いも検討していく。

経年変化で革の風合いが異なる“一点物”

今年(2022年)のバッグの無料引き取りは、6月1日(水)から6月30日(木)までと、10月1日(土)から10月31日(月)までの2回、大人向け鞄を扱う全国14店舗と配送で対応。リユース品の販売期間は2回設け、9月から10月頃と、11月から12月頃を予定している。販売場所は東京都・中目黒と大阪府・大阪市(グランフロント大阪)のランドセル専門店「童具店」2店舗で、店内に専用コーナーを設ける期間限定のポップアップストアをオープン。価格は定価の半額から75%程度に抑える予定だ。

リセールするアイテムは、経年変化で革の風合いなどが全て異なる一点物なのがウリだ。一つの物を、末永く良い状態で使い続けていただく、“革製品”ならではの取り組みである。

試験運用では目標の約6倍の点数が集まり、今年から事業化

前回のポップアップストアの様子(中目黒の当社店舗)

昨年(2021年※)、リユースビジネスの事業化に向けてテストマーケティングを実施したところ、目標の100点を大きく上回る580点のバッグを1 カ月間で引き取るなど反響を得た。(※引き取り10/1-10/31、販売11/19-12/19に実施) 引き取りサービスを利用した顧客の9 割が「満足」とアンケートで回答し、中には「自分のかつての愛用品が、職人の手で生まれ変わり、他の方がまた愛用してくれると思うと本当に嬉しい」といった声も。

再販売数は約150点となり、トートバッグやショルダーバッグ、ボストンバッグなど豊富な品揃えで、購入者からは「状態がとても綺麗で、驚いた」「良い味わいが出た状態のバッグを購入できて嬉しい」と、好評のうちに終了した。今回、試験運用の検証を進め、製品の引き取りおよび販売を、毎年行う継続的な事業として展開していくことを決定。今年は一年間で、昨年の約2.5倍となる1400点のバッグを集め、360点のリユース販売を目指す。

サスティナブルな新事業、リメイクも計画中

土屋鞄の職人が、丁寧に修理したバッグの数々

アパレル業界では今、サスティナブルなファッションへの意識が急速に高まり、環境に配慮した素材を使用した製品の開発や、使い終わった衣料品の回収・再利用の対応を、各社が本格化させている。そうした中、土屋鞄は今回の「リユース」に加えて、リメイク、リペア(修理)を加えた3本を柱とするサスティナブルなプロジェクト「CRAFTCRAFTS(クラフトクラフツ)」を、2022年4月1日に立ち上げている。

引き取った製品を職人が新たな鞄や小物、雑貨などにリメイクして販売する“アップサイクルビジネス”や、店頭でのリペア(修理)サービスを検討しており、製品をより長く使い続けてもらう環境を整える。今後は、修理やリメイク専門の職人も採用・育成していく計画だ。

東京・西新井の工房で、職人が革の補色から糸のほつれ直し、破損パーツの交換や除菌加工も

革製品の「修理」は“解体して組み立て直す”ため、「新品の製造」とは全くの別物。そのため、修理専門の技術を身に付けた熟練の職人たちが、西新井の工房でリユース事業に取り組んでいる。バッグの状態に応じて、クリーニングや保革、補色といった革のメンテナンスのほか、内装の張り替えや破損パーツ(ファスナー等)の交換、糸のほつれ直し、除菌加工を行い、綺麗な状態に戻す。

写真は修理の様子。製品の状態をみて、修理しても再販売できない物も引き取る。廃棄せず、今後のリメイク製品の素材として活用するほか、スタッフの育成教材として、修理の練習用に再利用する。
またリユースアイテムには、「土屋鞄」の製品であることの認定書も付け、どのような“再生”を行ったのかを記載。
修理のイメージ。左がビフォー、右がアフター。傷みやすいバッグのハンドル(持ち手部分)もここまで綺麗に。
また破損した金具は交換を行う。

information contact
土屋鞄製造所 お客様サポート係
tel:0120-907-647
受付時間:平日10:00~17:00(臨時休業あり)


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