マスターピースで知る、その革新の軌跡。
高級紳士靴を代表する存在が手がけた靴は、常に新たなハイグレードを模索した結果だった。『ジョンロブ』のマスターピースで、その革新の軌跡を知る。
PHILIP Ⅱ(フィリップ Ⅱ)
ドレスシューズの現在を象徴する美。
Background
そのデザインの原型はビスポークシューズの人気モデル。「フィリップ」として、レディメイドシューズのコレクションに登場したのは1985年だった。その当時はアーモンドトウの、オーセンティックな印象のラスト「8695」を採用し、キャップトウオックスフォードのモデル「シティ」とともに『ジョンロブ』の代表的ドレスシューズとして人気を博した。2001年には、よりシャープでエレガントな雰囲気を持つラスト「7000」を使い、プレステージレザーソールやベヴェルドウエストといった仕様を盛り込んだプレステージライン「フィリップⅡ」にアップデートして、現在に至っている。
Character
ドレスシューズの典型といえるシンプルなデザインゆえに、ラスト「7000」が持っているエレガントな雰囲気がよく伝わる。トウキャップの親子穴のブローギングと、レースステイ部の小穴のパーフォレーションとの組み合わせは、控えめなディテールながら、往年のドレスシューズを彷彿とさせるクラシック感をもたらしている。踵部はシームレス仕様になっていて、ソールのベヴェルドウエストとともに、『ジョンロブ』の高い製靴技術を物語る。ウエスト部を黒く着色した半カラス仕上げの底面もまた、ビスポークシューズ由来のドレッシーなディテール。
WILLIAM(ウィリアム)
革新的スタイルは、現代のマスターピースに。
Background
1945年にウインザー公(元英国王エドワード8世)からのオーダーを受けて、当時『ジョンロブ』の2代目当主だったウィリアム・ロブ氏が、アビエイター(飛行士)の靴から着想してビスポークシューズとしてこのデザインを生み出した。1982年にはレディメイドコレクションの1つとして「ウィリアム」という名を冠して登場、同ブランドを代表するアイコンモデルとして現在に至るまで人気を博している。2020年〜2021年には同モデルの誕生75周年を記念してさまざまな仕様の「ウィリアム」が登場し、その存在感と可能性を強く印象付けた。現在もコアコレクションの「ウィリアム」と併せて、丸みあるトウのラスト「0015」とライトウェイトウォーキングソールを組み合わせた「ウィリアム ニュースタンダード」が展開されている。
Character
バックルシューズ(ウィリアム)用のラスト「9795」を採用。アビエイターブーツ由来のダブルバックル&キャップトウのデザインと、堅牢さを感じさせるダブルソールとの組み合わせにおいて、適度な丸みがあるラウンドトウのラストが上品さをもたらしている。その存在感は、テーラードウェアはもちろん、カジュアルスタイル、さらにはモード感ある服まで、広範な装いで活躍する汎用性を備えている。
LOPEZ(ロペス)
ハンドソーンのモカステッチが生む上品さ。
Background
1950年代、フランス・パリの顧客がオーダーしたビスポークシューズがその起源とされる。1981年に『ジョンロブ』がレディメイドシューズをスタートした際、レディメイドコレクションのローファー「ロペス」として製品化された。以来現在に至るまで、同ブランドを代表する人気モデルのひとつであり、より軽快な履き心地を追求した「テンシルコンストラクション」のモデルや、ライトウェイトウォーキングソールを採用した「ニュースタンダード」のモデルなど、さまざまな「ロペス」が展開されている。
Character
ワイドで比較的厚みあるラウンドトウの、同ブランドとしては最初のローファー用ラスト「4395」を採用。サドル以外は一枚革で、エプロン(甲部)のモカステッチはハンドソーン(手縫い)で縫われている。また、トップライン(履き口)はローファースタイルの靴に多い折り返しではなくビーディング仕様になっていて、ビスポーク由来を感じさせるディテールであると同時に、足の収まりの良さにも繋がっている。内側はドレスシューズ同様のフルライニング仕上げ。これらの仕様が相関して、ローファーという靴種でありながら繊細でドレッシーな雰囲気が生み出されている。オンタイムからカジュアルまで、さまざまなシーンで活躍するのも頷ける。
JOHN LOBB 2022 AW Collection
さらに革新を続ける『 ジョンロブ』の最新コレクション
〇 LAST issue.23より
photographs_Toru Oshima
styling_Tomohiro Saito
information contact
ジョン ロブ ジャパン
tel. 03-6267-6010
www.johnlobb.com