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サステイナブルな革靴とはどういうものか。持続性を3つの項目に分けて考えてみた。果たしてそれは納得できるものなのか?
HEINRICH DINKELACKER ハインリッヒ ディンケラッカー
Cap Toe Derby w/Triple Sole
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ドイツの老舗がハンガリーでつくる重厚な靴。
1879年にドイツ・ジンゲルフィンデンにて創業。長らく同地にて靴づくりを行ってきたが、1960年代に工房をハンガリー・ブダペストに移転し、現在に至る(本社はドイツ)。同地に古くからあるハンドソーンウェルテッド製法をいまも継続して、クラフツマンシップ溢れる靴がつくられている。その中には独特の厚みをもったラウンドトウのラスト「リオ」を使った、トリプルソールのモデルもある。ソールにはオークバークの革が使われ、さらにアウトソールに数多くのネイルが打たれ、ソールをホールドするのと同時に革底の減りを抑制する効果を生んでいる。
一見ヘビーデューティで履きづらい靴に見えるが、足なりの形状のラストや適度なトウスプリングで、快適な着用感がもたらされている。アッパーにはヨーロッパのタンナーによるカーフレザーや米ホーウィン社のコードヴァンなど使われているが、いずれも上質であると当時に経年変化に耐えうるような強さを備えている。他では得難い独特な個性であり、それゆえ残すべき靴といえる。
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横から見ると、前方にピークのある独特なトウ形状がよくわかる。トリプルソールは馴染むのに多少時間がかかるが、衝撃吸収性があり、着用の疲れが少ないともいわれる。
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ラスト「RIO」は、靴の中で足指が動くような余裕ある足幅の一方で、甲部周囲でホールド感をもたせた独特なフィッティング。丸みあるシルエットはモードな服と相性がいい。
photographs_Takao Ohta
text_Yukihiro Sugawara
雑誌『LAST』 issue.18 特集「サステイナブルな革靴、を選んでみる。」より抜粋。