リニューアルした靴店は、クラフツマンシップ溢れる新鮮な靴を紹介しつつ、さらに現代の革靴のあり方を、総合的に提案している。
メンズ、ウィメンズ問わず、個性的なショップが点在する大阪・南船場界隈。その中でもひときわ異彩を放っているのが、靴店『D-TE(ディーテ) SHOE STORE』だ。
セレクトショップ『Cento Trenta(チェントトレンタ)』のグループである同店は、当初はドイツのシューズブランド『ハインリッヒ ディンケラッカー』日本店としてオープンした。その後同ブランドの生産拠点の変更などがあり、2022年2月に靴のセレクトショップ『ディーテ』としてリニューアル。
「ドイツ的なムードやコンセプトは引き継ぎながら、西欧の靴文化の主流である大量生産品とは異なる、アルチザンらしさを感じさせる靴を扱っていきたい」と語るのは、店長の石橋直樹さん。その言葉を裏付けるように、現在ハンドソーンウェルト製法(九分仕立て)を採用したシューズブランドをメインに展開している。さらにこの『ディーテ』には、靴磨き店「THE SHOESHINE GUILD」が手がけるシューシャインとリペアのスペースが併設されていることも特色だ。これは「姉妹店である『チェントトレンタ』も含め、地域において紳士に関する全ての事柄を完結させたい」という同店の運営会社の姿勢を反映している。
また石橋店長は、『ディーテ』が表現するスタイルについて次のように語る。「革靴をドレススタイルに限定するのは、現代のライフスタイルにおいて少し難しいのではないかと思っています。履き心地がそこまで窮屈ではなく、普段の服装にも合わせられるハイグレードな革靴はあると思います」。例えば『ヴァーシュ』のブダペストスタイルの靴は、足なりの木型形状とハンドソーンウェルト製法の組み合わせで履きやすさもあり、デニムなどとも合わせられる普遍性があります、と石橋店長。
そして次のように言葉を継いだ。「単にクオリティが高い靴を選ぶ、その先を提案したい。そのためにも、今のファッション、特にカジュアルスタイルとの着こなしを踏まえた革靴選びに注力しています」。彼のスタイルがそれを雄弁に物語っている。
取扱いブランド
photographs_Satoko Imazu, Takao Ohta(shoes)
〇 LAST issue.23 より