靴を仕立てる。【マーキス】

いまや世界的にもその存在が取り沙汰される日本の職人たち。今回は比較的アクセスしやすい東京と関西を拠点としている靴職人をガイドする。


Marquess

古の名靴を研究して行き着く靴の美しさ。

WORKS
最近追求しているバランスでつくられたブローグ。べヴェルドウエストのウエストはあまり内側に絞らず、高いラインで上部を支えるような感じに仕上げられている。

「道具としての完成度を上げていくと、靴は美しくなると思っています。柔らかいところと硬いところをはっきりさせることが重要だと、今は考えています。イメージとしては柔らかい履き心地で、ソールでしっかり支える靴です」

 このように語るのは『マーキス』の靴職人、川口昭司氏。公私ともにパートナーである由利子氏とともに英国にてハンドメイドの靴づくりを修め、2011年より日本で自らの靴づくりを本格的にスタートした。英国の往年のビスポークシューズを徹底的に研究した靴づくりはすぐに国内外で話題となった。2017年からは拠点を銀座に移し、ビスポークの靴づくりの一方で、『アーツ・アンド・サイエンス』との協業でメイド・トゥ・オーダーのウィメンズシューズも手がけている。

『マーキス』の靴づくりは、木型とパターンメイキングを昭司氏、パターンメイキングとアッパーの縫製を由利子氏が手がけ、工房内の職人や外部職人が底付けなどの作業を行なっている(取材時)。「ビスポークの靴づくりは人だと、つくづく思います。奥が深いので、ひとりで達成できるのはたかが知れています。製作を手がけるチームがしっかりしているところが、強いですね」と昭司氏。その目標は、往年のトゥーシェックの靴のような「こなれた仕事」だそう。

工房にて木型を削る作業を行っている川口氏。後ろの無数のラストが、これまでの道のりを物語る。
現在追求している木型のバランスは、細いウエストではなく、まっすぐなアウトサイドという。
トライオンはこのように切って、靴の中における指の様子なども確認する。

SHOP INFO
Marquess

価格・納期などの目安
ビスポーク
¥318,0000〜
仮縫いは基本1回、納期1年半〜

住所:東京都中央区銀座1丁目19-3 銀座ユリカビル1F
電話:03-6912-2013
HP:http://marquess-bespoke.blogspot.com

※この特集中の価格、納期などはあくまで参考です(2019年4月時点)。素材や製法、各店の状況によって変わることもあり、オーダーをお考えの場合は各靴店にお問い合わせください。なお、表記価格は特記なき場合はすべて税抜きです。
※各店とも、基本的に要予約です。連絡先や各ホームページからご連絡ください。


photographs_Satoko Imazu
photographs_Hirotaka Hashimoto
text_Yukihiro Sugawara
○雑誌『LAST』issue.16 「Shoemakers in Japan 2019 靴を仕立てる。」より抜粋

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