靴を仕立てる。【タイ シューメイカー】

いまや世界的にもその存在が取り沙汰される日本の職人たち。今回は比較的アクセスしやすい東京と関西を拠点としている靴職人をガイドする。


TYE shoemaker

顧客への提案から生み出される、新たなスタイル。

WORKS
サドルストラップが独特なローファーは、顧客のオーダーに対して提案する過程で導かれたスタイル。

 最近では「奥浅草」なる言葉で表現されることもある浅草北西エリアは、従来から靴産業の集積地だったが、ここ数年はものづくりを志す若い世代がアトリエを構えるなど、少しずつ変化を見せている。大野毅氏と島村洋平氏は2009年からその地で『タイ シューメイカー』として靴づくりを行ってきた。

「最近は〝オマカセ〟といわれることが多いですね。この言葉、日本にいらっしゃる海外の方の頻出ワードではないでしょうか」と語る大野氏。インスタグラムなどを見て来店する海外の顧客は増えて、いまや6割を占めるという。レースアップかローファー、ブーツなのか程度はオーダー時に決めるものの、スタイルなどに関してはお任せの発注のため、大野氏はオーダー時に詳細なデザイン画を描き、仮縫いには複数のスタイルのトライアルシューズを製作する。「実物があるわけではないので、仮縫いでデザインをお見せします、とせざるを得ないところもあります」と語る大野氏。それはまたそれぞれの顧客に妥協なく向かい合おうとする姿勢の表れともいえるだろう。技術力もさることながら、労力のほどが窺えるが、大野氏は「技術的なことは試行錯誤でしか上がっていきません」と言い切る。そしてその姿勢は、オリジナルなスタイルの靴として結実している。

ボトムのメイキングは大野氏が担当。
仮縫い時にこのように2種類以上のデザインが提案される。
採寸時にはその場でこのようなデザイン画を描いて、スタイルを説明することも多い。

SHOP INFO
TYE shoemaker

島村洋平氏(左)・大野毅氏(右)

価格・納期などの目安
ビスポーク(シューツリー込み)
¥328,000〜
仮縫いは基本1回、納期1年〜

住所:東京都台東区今戸 2-30-12 クリスタルビル2F
電話:03-3873-1135
HP:http://www.tyeshoemaker.com

※この特集中の価格、納期などはあくまで参考です(2019年4月時点)。素材や製法、各店の状況によって変わることもあり、オーダーをお考えの場合は各靴店にお問い合わせください。なお、表記価格は特記なき場合はすべて税抜きです。
※各店とも、基本的に要予約です。連絡先や各ホームページからご連絡ください。


photographs_Satoko Imazu
photographs_Hirotaka Hashimoto
text_Yukihiro Sugawara
○雑誌『LAST』issue.16 「Shoemakers in Japan 2019 靴を仕立てる。」より抜粋

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