ワークブーツをカスタムすることが一般的になりつつあるという。リペアから生まれリペアを超えた靴の楽しみ方、ブーツカスタムの世界を覗いてみた。
RADIAN ラジアン
動画配信でブーツカスタムを啓蒙するショップ。
YouTubeやインスタグラムで、ブーツのカスタム動画や画像を積極的に発信しているリペアショップが愛知県豊橋市の『ラジアン』だ。動画チャンネルの登録者は2万人を超える。この発信の効果で、全国からリペアやカスタムの依頼が届く。リペアのうちブーツの占める割合は高く、約7割。その半数以上がカスタムの依頼であると言う。
オーナーの杉浦徹氏が感じているSNSのもうひとつの効果は、クローゼットで長年眠っているブーツを再び履きたい気持ちにさせる、というもの。ラジアンが特にそうしたユーザーに向けて提案しているカスタムに、レースアップブーツの内側にジッパーを取り付ける、というものがある。脱ぎ履きの手間が弱点であるブーツが、着脱をしやすくすることで再び履かれるようになる。毎月何足もの依頼を受ける人気のカスタムとなっているという。
スニーカーのカスタムにも積極的だ。伝統的製法の革靴に比べると寿命の短いスニーカーだが、マッケイ製法や底周りにレザーをあしらってステッチダウン製法にすることで、長年の使用も可能になる。デザイン的な面白さだけではない価値がカスタムにはある。
デジタル環境、SNSというプラットフォーム、動画コンテンツの活用。既に所有する靴を活かすというサスティナブルな感覚。自分だけのブーツをつくるパーソナルな楽しみ。ブーツカスタムが、現代の環境の中で、高まるニーズを捉えていること、だからこそ広まり続けていることを改めて実感させられる。
ラジアン
add. 愛知県豊橋市札木町106-1
tel. 0532-52-2868
HP. https://www.572958.com/
photographs_Takao Ohta
text_Michiya Suzuki
『LAST』 issue.18 「ブーツをカスタムする、サスティナブルな革靴の楽しみ方」より抜粋。