ブーツをカスタムする、サスティナブルな革靴の楽しみ方。
凛靴

ワークブーツをカスタムすることが一般的になりつつあるという。リペアから生まれリペアを超えた靴の楽しみ方、ブーツカスタムの世界を覗いてみた。

RINKA 凛靴

英国靴にも違和感なく取り入れられるカスタムを提案。

和を取り入れた内装と英国靴が心地よく調和している。

 京都三条会商店街にある『凛靴』がオープンしたのは2007年。京都にまだ欧米のソールパーツを使う本格的な革靴リペアショップがなかった頃である。必然的にグッドイヤー製法のドレス靴のソール張り替え依頼を多く請け負うことになり、現在でもリペアの中心はドレス靴となっている。もちろん、ワーク系のブーツのリペア依頼も常にある。そうしたブーツの約半分はカスタムの依頼だという。

 オーナーの森裕佑氏は言う。「ドレス靴でもレザーソールをラバーのものに変える依頼は多いんですが、それは機能的な理由から。ブーツのソール変更はイメージを変える目的のものが多いように感じます」。

 ドレス靴のユーザーへ凛靴が提案するカスタムは、この両方の要素をミックスしたものだ。例えばドレス靴のユーザーがカジュアルな装いに合わせることの多いクラークス。長年のリペア経験から、オリジナルのクレープソールはある程度履かれると飽きられがちだと感じていると言う。このソールを素材、形の違うものに変えることで、また履き始めてもらえる、と考えて提案しているのが、クラークスのソールカスタムである。カスタムがサスティナビリティに繋がる好例ではないだろうか。

 森氏が私物のトリッカーズに施したカスタムを見せてくれた。ソールをウェッジシェイプのビブラム Vi-Lite に変更したサイドゴアブーツ。イメージや履き味を変えつつ、違和感のないスタイルでまとまっていた。ワーク系のブーツで広まったカスタムのドレス靴における可能性を示唆している。

森氏が手にしているのは、ソールをビブラム Vi-Lite #9105 に変えたトリッカーズのサイドゴアブーツ。ソール交換料金は¥12,800。英国靴でソールの形状を変える依頼はまだ少ないが、森氏はこうした違和感を感じさせない組み合わせから提案を行なっている。
凛靴が提案しているクラークスのソールカスタム。シンプルで軽いアッパーとの相性が良い軽く柔軟性のあるソールを選んでいるという。ソール交換料金は、ソールの種類によって異なるが、¥12,800〜¥14,600。
町屋であった建物を改装した凛靴の2階は縫い作業のスペースとなっている。

凛靴
add. 京都市中京区三条通大宮西入上瓦町62番
tel. 075-821-2605
HP. http://kyoto-rinka.com


photographs_Takao Ohta
text_Michiya Suzuki
『LAST』 issue.18 「ブーツをカスタムする、サスティナブルな革靴の楽しみ方」より抜粋。

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