靴を仕立てる。【ギルド・オブ・クラフツ】

いまや世界的にもその存在が取り沙汰される日本の職人たち。今回は比較的アクセスしやすい東京と関西を拠点としている靴職人をガイドする。


Guild of Crafts

日本のビスポークシューズの先駆けとして。

WORK
ダイヤモンド・キャップの山型の稜線をなだらかにしたその名も「LEAF CAP(リーフ・キャップ)」のレイジーマンスリップオン。独ワインハイマー社のカーフを使い、つま先をブラウンに色付けしている。

 1996年にスタートした、靴職人・山口千尋氏による『ギルド・オブ・クラフツ』。今日の日本におけるビスポークシューズ、ハンドメイドによる靴づくりの盛り上がりは、彼の存在なくしては語れないだろう。工房と併せて運営している靴の学校『サルワカ・フットウェア・カレッジ』は数多くの人材を輩出し、靴職人として活躍している卒業生も少なくない。

 現在の『ギルド・オブ・クラフツ』では、メイド・トゥ・オーダー2種と、「ラストホルダー(ビスポーク)」4種のオーダーメイドシューズが展開されている。ラストホルダーは製作可能なスタイルや使用素材によって価格が変わり、最高クラスの「マスターピース」は42万円から。靴は工房内の職人たちによって製作されるが、木型の切削は現在も山口氏のみが担当している。「語弊があるかもしれませんが、ラストの考え方はまだ完成されていない、研究の余地があると思っています。一度完成した方法論があったとしても、そのループからあえて抜け出していくことが、必要ろ感じています」と山口氏。その言葉は求道者を思わせる。

 採寸などは銀座店店長の池田良弘氏が担当。同社が独自に開発した台やシートを使って計測するが、採寸だけで40分以上というから、その緻密さが窺える。

木型切削を行う山口千尋氏。山口氏のアトリエは銀座店の奥に構えられている。
ラストホルダー(ビスポーク)では採寸によってシートに記載された足のデータをベースに(さらに「マスターピース」では足裏の石工型をとる)、木型が削られ、その後透明な樹脂製のシェルによる仮縫い、革製のトライオンシューズによる2回目の仮縫いを経て、靴がつくられる。
採寸の様子。オリジナルの採寸台に座って、裸足を計測する。採寸シートに計測用のテープがいくつもついていて、その細かさが窺える。

SHOP INFO
Guild of Crafts

価格・納期などの目安
メイド・トゥ・オーダー
「クラシック」¥120,000〜¥140,000、「プライム」¥140,000〜¥180,000
納期 10ヶ月〜
ラストホルダー(ビスポーク)
「クラシック」¥260,000〜、「ヘリテージ」¥320,000〜、「プライヴィレージ」¥360,000〜、「マスターピース」¥420,000〜 
仮縫い 2回
納期 1年2ヶ月

住所:東京都中央区銀座1-3-3 東亜ビル1F
電話:03-3563-1192
HP:http://www.guild.tokyo

※この特集中の価格、納期などはあくまで参考です(2019年4月時点)。素材や製法、各店の状況によって変わることもあり、オーダーをお考えの場合は各靴店にお問い合わせください。なお、表記価格は特記なき場合はすべて税抜きです。
※各店とも、基本的に要予約です。連絡先や各ホームページからご連絡ください。


photographs_Satoko Imazu
photographs_Hirotaka Hashimoto
text_Yukihiro Sugawara
○雑誌『LAST』issue.16 「Shoemakers in Japan 2019 靴を仕立てる。」より抜粋

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