「高価な靴を長持ちさせる」ためのシューケアを考える。Part.3(WREN’S)

昨今盛り上がりを見せるシューシャイン。それらは靴を美しく見せる技術といえるが、それでは、靴を保ち、長く使えるようにするために出来ること、そのためのシューケアとはどういうものだろうか。そこでシューケア用品を手がけている担い手に、お話を伺った。

WREN’S(ウレンズ)製品を使ってのケア。3ステップで紹介。

1
革靴を履き下ろす前に行いたい「プレケア」の方法。

特にインポートの靴が顕著だが、革靴は製造~購買までの時間が長くなるケースも多い。その間に失ってしまった潤いをアッパーの革に回復させ、深く醜い皺が入るなどの履き下ろしの際に起きがちな革のダメージを最小限に防ぐのがプレケアの目的だ。

まず毛質のソフトな馬毛ブラシでホコリを軽く落としてから、水分の豊富なデリケートジェルを塗る。量は片足で歯ブラシ1/2程度で十分。続いて乳化性クリームを塗布し革に油分と蝋分を入れ光沢を出す。分量は片足米粒2・3 粒程度。なお、これらを塗る際には専用の小さなブラシを用いると効率良く進められる。

その後、毛質が硬めの豚毛ブラシでブラッシングし、乳化性クリームの成分をアッパーの革全体に均等に行き渡らせる。浸透を促進するため、ここでは比較的強めのブラシ掛けを心掛けたい。布で乾拭きした後、好みに応じてつま先やかかとなどに油性ワックスを塗り光沢を更に高めてもOK。

香りの良いウレンズデリケートジェルと、クリーム類を塗るのに丁度良い大きさのウレンズドーバーブラシは共に¥900。
プレケアで用いる乳化性クリームの色は黒の靴なら黒で、茶系は靴の色より1トーン明るいものがお勧め。なお、プレケア以外にも用いることが多い豚毛ブラシは、できれば靴の色毎に揃えておきたい。

2
「ベーシックケア」までではないが、帰宅後に行うべきケア方法。

まずは吸湿性に優れた木製シューツリーを靴にセットし、アッパーに付いた皺を伸ばしソールの反りを戻すことからはじめたい。ツリーを入れるタイミングは、皺伸ばしが一番の目的なら帰宅直後、汗かきの人なら靴の中の湿気が多少飛んだ翌朝など、各自の状況で判断して構わない。ただし靴の形状に合っていないシューツリーを用いると、 靴にダメージを与えるので注意。

その後柔らかい毛質の馬毛ブラシでホコリを落としてから軽く乾拭き。これらだけで靴の光沢やコンディションが維持でき、靴の寿命も大きく変わる。なお、多少汚れてしまった場合は穏やかな成分のクリーナーを活用してもよい。分量は米粒1つ大で片足の1/3位用いれば十分だ。

AS プレミアムシューツリーは相性の良い靴が多く評価が高い。¥8,500。
乾拭きは糸くずが出難く革の表面も荒し難いマイクロファイバー製のウレンズポリッシングミトンで。¥600
今回汚れ落としにはウレンズレザーローションを用いた。¥1,400。

3
靴に応じて、色付きの乳化性クリームをどう選ぶか。

「着色」とまでは行かないが、色付きの乳化性クリームには「補色」の効果は確かにあるので、アッパーの革の色が微妙な場合や近い色味が見つからない場合はニュートラル=無色のものを用いるのが無難。逆に言うと黒い靴の場合は、新品の段階から黒の乳化性クリームでお手入れした方が色褪せは確実に防げる。茶系の靴では、新しめのものなら靴の色より1トーン明るい色のものを用いると本来の色調は維持しやすい。しかし、ある程度履き込んで自然な色ムラが出始めたら、靴の色と似た色やワントーン濃い色、赤味や青味の多い色などを用いて「自分の色」にしてゆくのも一つの手だ。つま先や縫い目にのみこれらの色を用いて陰影を付けてゆくのも楽しい。

履き込むと色味のニュアンスが徐々に変わるのがブラウン系の靴の大きな特徴。ケア用の乳化性クリームの色もそのステージ毎に様々に変化させたい。ウレンズレザークリーム 左からニュートラル・ダークブラウン・ラセット・ボルドー。各¥800

お話を伺った方

小島隆聖さん
荒川産業 営業部

photographs_Takao Ohta
text_Takahiro Iino
○雑誌「LAST」issue.18 「Shoe Care To Keep Shoes in Good Condition」より抜粋。

information contact
荒川産業株式会社
tel:03-3874-8191

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