ドレスシューズには、さまざまなスタイルがあり、それぞれ特色と個性がある。ここでは、知っておきたいドレスシューズのスタイルを取り上げ解説する。
Full Brogue Oxford
フル ブローグ オックスフォード
ブローグとはアイリッシュ古語で「靴」を意味する単語が由来といわれ、穴飾り、さらには穴飾りが全体に施された靴を指す。アイルランドなどで泥や湿気を含んだ土地で活動するために、鞣されていないハイドレザーに穴飾りを施した履物を使っていたことが起源とされる。ゆえにカントリーやアウトドア由来だが、近代英国のジェントルマンの成立やライフスタイルの変化を経て、英国らしい紳士靴のスタイルとして洗練されたと考えられる。
1. ウィングキャップがスタンダード。
フルブローグ(靴全体にブローグがあるスタイル)の特徴は、正面から見て羽根を広げたようなキャップ部の形状。つま先上には、メダリオンとも呼ばれる植物や動物の頭部などを象った穴飾りが施される。
2. 3つのラインが靴の個性を生む。
キャップのエンド、ヴァンプ(甲)の切り返し、レースステイからトップライン(履き口周囲)そして踵周囲にあるブローグの帯。それぞれの間隔や曲線の角度など、バランスの取り方で靴の印象は大きく変わる。
3. 穴とともにギンピングも重要。
ブローグ(穴飾り)は大穴が大きいとカジュアル感が強く、小さいものはドレッシーな印象。またギンピングというギザギザしたエンドの処理が施されたものはクラシックで、最近はそれを排したスタイルも多い。
JOHN LOBB
STOWEY
同ブランドのコレクションに久々にラインナップされたフルブローグオックスフォード。ラストはラウンドトウの8695。
¥230,000(ジョン ロブ / ジョン ロブ ジャパン tel.03-6267-6010)
photographs_Takao Ohta
text_Yukihiro Sugawara
◯LAST issue11 特集「いま、知っておきたいドレススーズのスタイル。」より抜粋。