大阪の靴磨き店『THE WAY THINGS GO』を訪ねて。

㉓コットンネルの布に、写真のようにほんの微量のワックスをとり、下地をつくったところを撫でていく。ネルの毛足を寝かせるために微量の水を使う場合もあるが、基本的に水分は使わなくていい。

㉔ほんのひと撫でで輝きが出てくる。ベースづくりを重点的に行うと、水分などを使わなくても布だけで十分に光ると石見氏は語る。

㉕つま先部分など輝きが必要なところを磨いている時は、布の中で指は立てた状態。ワックス層を増やすようなイメージで動かす。この指の様子に関しては後述する。

㉖表面を磨いた後の布の表面には、実はそれほど多くのワックスがついていない。この状態で表面にワックス層(鏡面層)が形成されて、その層が輝きを生み出している。

㉗ワックスをつけた布で撫でるとこのように油膜が出るので、出る油膜で、取っている量を確認し、多くつけすぎないように。この作業を繰り返すことでどんどん輝きを増していく。

㉘サイド部分も重要なポイント。鏡面磨きというと光らせることばかりが重要視されがちだが、影の部分がより濃く落ちるようにしないと美しくないと石見氏は語る。

㉙縦方向にワックスを伸ばしている時は、布の中では指を寝かせた状態で作業している。指の動きを細かく調節することが重要。この指のポジションについても後述する。

㉚つま先部分など光らせる部分を磨いている際の、布の中の指の姿勢を示したもの。かなり指を立てて、力をかけて磨いていることがわかる。

㉛縦方向に磨いている場合の、布の中の指の姿勢。指の腹を使って磨いていることがよくわかる。ふたつのタッチの使い分けがナチュラルな艶を生む。

㉜磨きがひと段落したら、余っている部分などをヤギ毛のブラシでブラッシングすることで自然な輝きが生まれる。油分が全体に移って、靴全体に均一感が出てくる。

㉝最後は少量の水をつけて縦方向に、指の腹を使う感覚で靴の表面全体に伸ばしていく。水分を多く使わないことで油分を残し、ナチュラルな輝きを実現することができるという。

㉞コバ部分やヒールなどは、水分とワックスそれぞれ多めにとって伸ばすと光りやすい。意外に効果的な磨きの箇所でもある。

㉟左がケア&ポリッシュを終えた靴。その差はあまりにはっきりとしている。TWTGでポリッシュした靴の場合、1年を経過した靴でも擦ると油膜が出ることがあるという。柔らかな仕上げが重要とも。

SHOP DATA
ショップ名:THE WAY THINGS GO
所在地:大阪府大阪市中央区淡路町2-5-8 船場ビルディング415
tel:06-6203-0551
https://www.twtgshoeshine.com

photographs_Takao Ohta
〇 雑誌『LAST』 issue.14 より

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