紳士靴の真の魅力は、新品の状態にはないとも言われる。履いてシワなどが生まれ、さらにケアなどをしながら靴が持ち主の足と融合していくことによって、独自の個性が発揮されるというのだ。特にワークシューズ由来の靴においては、シワこそが個性といえるかもしれない。新品の状態はむしろ不完全で、エイジングを経て靴として完成される。
レッド・ウイングの代表的モデル「ミルワンブルーチャー・オックスフォード」
『レッド・ウィング』における「クラシック・ドレス」の代表的モデル「ミルワンブルーチャー・オックスフォード」は、そうした靴の典型といえるだろう。1930年代に同社でつくられていたオックスフォード(短靴)をベースに、後の時代に米軍のオフィサーシューズ用に開発された木型「Mil-1(ミルワン)ラスト」を採用したこのモデル。アッパーの「エスカイヤ・レザー」は、キメの細かなヘファーハイド(若い未経産の牝牛の皮)を使い染色後の表面にレジン系のトップコーティングを施したもの。
着用を重ねることで、表面に独特の凹凸感が生まれる。そうしてヴィンテージの靴が持っているような、唯一無二の存在感が形成されていくのだ。
photographs_Takao Ohta
〇 雑誌『LAST』 issue.15 より
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