「Museo de madras(ムゼオ・デ・マドラス)」100周年を迎える『マドラス』の新たなアプローチ

1921年(大正10年)に、「これからは草履ではなく靴の時代が来る」と、民生用の靴を手がける亜細亜製靴として創業、今年100周年を迎える「マドラス」。それを記念して、本拠地の大口工場内に、ミュージアム「Museo de madras(ムゼオ・デ・マドラス)」が開設された。

『マドラス』創業100周年を記念して建設されたミュージアム。一般向けの工場見学もスタート。

『マドラス』の靴づくりのプロセスが、工程ごと、写真や製作途中の靴を使って説明されている。同社のクラフツマンシップをわかりやすく表現。
「マドラス」の歩みを、創業前史から遡った展示。時代の移り変わりもわかりやすく解説されている。

館内には同社の歩みを丹念に追った展示を中心に、かつて手がけていた靴や話題となったさまざまな広告などのアーカイヴ資料が並ぶ一方、同社で現在手がけている靴づくりについても、工程ごとにわかりやすく展示されている。

またこの施設の開設と同時に、一般向けの工場見学も受付がスタート。「かつて名古屋市内に工場があった際、小学生の工場見学が毎年開催された。それを現代に復活させるべく、5年前から工場のリニューアルとともに準備していた」と語った岩田達七社長。これは『マドラス』の靴づくりやブランド価値の向上ということにとどまらず、日本の靴づくりの真価を広く社会に認知させる試みといえるだろう。また、実際の工場見学と平行して、「バーチャル工場見学ムービー」も同社サイトにて公開されている。

かつてイタリア・ヴェネツィアにあった「バレンチノ・マドラス」社の資料。1965年に同社と「アジア製靴(現・マドラス)」が技術提携して、日本で『マドラス』ブランドの展開がスタートした。
1950年代に開催された靴のコンテストで受賞した靴。グッドイヤーウェルテッドのこの靴は、コバの処理など細部に至るまで職人の技が盛り込まれていた。
過去のカタログや広告ヴィジュアルなども展示。懐かしいTVCM なども見ることができる。
ミュージアムには現行製品のショールームも併設していて、オンラインで購入もできる。また一部レザーグッズや、工場で使っている革などは、その場で販売されている。
マッケイ製法が中心となっている、『マドラス』の靴づくりの展示。
ミュージアムの開設にあたって挨拶したマドラス株式会社の岩田達七社長(左)と岩田栄七会長(右)。
工場見学ツアーでは、実際に靴の製作に携わっているスタッフによって、各工程が実演も含めて説明される。これは靴前部のアッパーのつり込みを行う、トウラスターの工程。
『マドラス』の特徴のひとつである、カラーレーション(色づけ)の工程。熟練したスタッフが手がけている。「マドラス・オーダー・シューズ・システム(MOSS)」では複数の色からアッパーを選べ、手作業での色付けも選択できる。
木型からパターンメイキング、そこからアッパーがどのようにつくられるか、説明を行うデザイン部門のスタッフ。

ムゼオ デ マドラス(マドラス大口工場併設)
【住所】愛知県丹羽郡大口町上小口1-753
【工場見学予約フォーム】https://www.shoe-style.jp/contents/factory_tour/reservation

information contact
マドラス株式会社
HP : https://www.madras.co.jp/

photographs_Takao Ohta,
〇 雑誌『LAST』 issue.20 より


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