『ECCO(エコー)』 革から靴まで、進化を続けるものづくりの現場。

活動的な現代生活を支える、コンフォートな靴。
そこには、最新テクノロジーと職人精神の融合があった。


in Denmark
足を中心に考え
目指すのは「魔法」の靴づくり。

 デンマーク、トンダーは、デニッシュデザインを代表するインテリアデザイナー、ハンス・J・ウェグナー生誕の地。そしてシューズブランド「エコー」本社所在地でもある。「フルイドフォルム(FLUIDFORM™️)」という、同社独自の製法でつくられるコンフォダブルかつ機能的な靴で、エコーは男女幅広い層から支持されてきた。最近では、「ヴィトラス」などのモデルで、高級紳士靴の領域にも注力している。そんなエコーの魅力を解題すべく、このデンマークのほか、オランダそしてポルトガルを巡った。

デンマーク、トンダーのエコー本社。ここからほど近い創業地のブレデブロには、現在もR&Dの工房がある。
本社前に設置された足型のモニュメントは、同社が足に即した靴づくりを目指すマニフェストでもある。

「エコーでの靴づくりは、動いている足から始まります。木型には足の動きも盛り込みます。そして、そうした木型形状を再現できるのが、フルイドフォルム製法なのです」

 こう説明するのは、2017年よりグローバル クリエイティブ ディレクターを務めるリアム・マーハー氏。オランダのデニムブランド『デンハム』などを経て現職に就いた、メンズファッションに造詣が深い人物だ。彼は現状のエコーの強みとして、「人間工学に基づく木型やデザイン」「クラフト性と進歩性を兼ね備えたレザーづくり」「フルイドフォルムなどの快適性を実現するテクノロジー」という3つの要素を挙げた。

グローバル クリエイティブ ディレクターのリアム・マーハー氏

 デザインディレクターのニキ・テステンセン氏が、最新モデル「ヴィトラス アーティザン」に使われる「フレックスフレーム」を手に取り、靴づくりの一例を説明する。そのパーツはソール外周を象った革製の枠の中に、樹脂の骨組みが配された新開発のものだった。

デザインディレクターのニキ・テステンセン氏が手にした「ヴィトラス アーティザン」

「この枠の中に、フルイドフォルム製法で自社開発のPU(ポリウレタン)を流し込みます。見た目はクラシックながら、硬さがない快適な履き心地を実現します」

そして、マーハー氏がやや詩的な表現で、次のように続けた。

「いわば魔法のようなものです。人の足を再現したラストとこれが合わさり、PUが流し込まれると、素晴らしい履き心地の靴になる。それは芋虫が蝶になるようなものですね」

本社に併設されたアーカイヴ。かつてつくられたエコーの靴がいつでも参照できるようになっている。
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