『forme(フォルメ)』靴づくりの意図と、実現する技、そして相互理解。

靴技術が反映したつくりと、他とは一線を画すデザイン性で人気の『forme(フォルメ)』。その最新モデルから、同ブランドの魅力と真価を解題する。

浅草の製靴技術を駆使した独創性、アイデア

東京・浅草で継承されている製靴技術を駆使しつくられているという『forme(フォルメ)』の靴。その一方で、同ブランドの靴はクラシックな靴という範疇に止まらない、独創性、アイデアが盛り込まれている。例えば、2024年春夏展開のモデルとして発表された「Gwen」は、一見ホールカットのスリップオンだが、甲部にサドルストラップを思わせるステッチが配されている。

Gwen
ホールカットのスリップオンに、イミテーションのステッチを加えたデザイン。ステッチは交差したり途中で止まっていたりと、デザインの試行線のように不規則に配されている。「履き込むとステッチのところに陰影がついて、あたかもサドルがあるように見えるのも面白い効果です」と小島氏。また、アッパーの革によって、パイピングとビーディングなど、仕様も変えている。グッドイヤーウェルト製法。トープカラーの「Ser
pentine」は¥79,200、ブラックの「Class」は¥84,700

「これは自分が普段行なっている、木型の上にデザイン線を乗せる行為を、ステッチワークで、実際の靴のデザインに置き換えたものなんです」
 こう説明する『フォルメ』デザイナーの小島明洋氏。過去の展示会で、デザインプロセスを解説していたところ、線が描かれた木型に強い関心が集まった。そこで試行錯誤している線も含め、実際のデザインに置き換えてみることを着想したという。

「例えば内羽根の靴をつくる時、このスタイルの歴史を遡ってみるわけですが、その過程で当時なぜこうしたデザインが生まれたか、必要性が見えてきます。そして、19世紀と現代とでは必要とされることは違い、履くシーンも異なるので、今ならどのようにつくるかと考え直すのです。それはクラシックなデザインをそのままつくるのとは違います」
 自身のシューズデザインについて語る小島氏。

その一方で、靴づくり自体についてはオーセンティックなものを堅持するとも。「現代に残る靴づくりのさまざまな事柄は、必要があって、意味があって残っていると思います。ちゃんと靴をつくろうと思ったらそのようになっている、ということです」
 そう語る小島氏の案内で、『フォルメ』のアッパーを手がけるクローザー(製甲工房)と、つりこみやソールまわりを担当する自社工房を訪ねた。

今回の「Gwen」に関してはクローザーが小島氏とやりとりする中で、パターンが仕上がったという。甲部のステッチは、1本目はあらかじめ線を引いているが、2本目は1本目の線をもとに、職人が見当で縫っていく。その淀みない作業からは、靴のデザインや意図に対する深い理解が感じられた。

また自社運営の工房では、ハンドラスティング、機械を使わず手作業で木型にアッパーをつりこむ作業が行われていた。「場所によって力の加減を変えながら、木型に沿わせ、デザイン通りの形になるよう引いて(つりこんで)いきます」一足20分程度でテンポよく仕上げる職人の言葉にもまた、小島氏と同じイメージを共有し、作業する姿勢が感じられたのだった。

LAST issue25より
photographs_Takao Ohta, Satoko Imazu

information contact
フォルメ
tel:03-6240-6558


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