サステイナブルな革靴、を選んでみる。
ALDEN 990 clipper Ox.

サステイナブルな革靴とはどういうものか。持続性を3つの項目に分けて考えてみた。果たしてそれは納得できるものなのか?

ALDEN オールデン
990 clipper Ox.

MEMO
アッパーに使われているのは、アメリカ・シカゴのタンナー、ホーウィン社のシェル・コードヴァン。馬の尻部分の繊維が緊密になった箇所を使った希少な素材だ。この色は、ホーウィンそしてオールデンの代表的なものといえる。リバースウェルト上部には、ステッチが配され、堅牢な印象を高めている(アッパーには縫合されていない)。
¥126,000(ラコタハウス青山 tel.03-5778-2010)

3ケタ品番が示す、時間に左右されないスタイル。

 オールデンの靴には通常品番が付されているが、ロングランの「3桁」モデルのひとつが、このバーガンディカラーのシェル・コードヴァンをアッパーに使ったプレーントウ・ブルーチャーである。ブラックカラーになると品番は「9901」となるので、この独特な赤茶色が先行してつくられたのかもしれない。

トウからヴァンプ、踵にまで至る大きなパーツで構成されたアッパーは、革のクオリティが如実に反映されるとともに、コードヴァンの特徴でもある、履き馴染むことで屈曲部に表れる大きめの皺が映えるので、その点でも持続性の魅力があるといえるだろう。

ソールは工場でひと手間加えたダブルソール。全周のリバースウェルトとともに堅牢なボトムメイキングになっていて、それがこの靴に適度なカジュアル感をもたらしている。

使用ラストは同社で長年主軸の木型であるバリーラスト。くせのないラウンドトウの形状とプレーントウの組み合わせは、デニムからウールトラウザーズまで、幅広く対応することができる。

SIDE
上から見た時には、トウのなだらかな弧がよくわかる。アメリカンなスタイルとしては、ドレスの範疇にも入るが、トウシェイプやボトムの存在感で、カジュアルでも着こなせる。
ABOVE
しっかりとしたダブルソールは履き込むにつれてトウスプリングが生じてくる。コードヴァンは成型性が高く、足馴染みを重視してシューツリーは最低限に、という意見もある。

photographs_Takao Ohta
text_Yukihiro Sugawara
雑誌『LAST』 issue.18 特集「サステイナブルな革靴、を選んでみる。」より抜粋。

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