サステイナブルな革靴とはどういうものか。持続性を3つの項目に分けて考えてみた。果たしてそれは納得できるものなのか?
EDWARD GREEN エドワード グリーン
Chelsea
波乱の歩みを象徴するような普遍的魅力。
経営難に陥っていた往年の名靴職人の名を冠したシューズメーカーを、シューズデザイナーだったジョン・フルスティック氏が買収したのが1983年。その後フルスティック氏は黒靴が主流だったマーケットにアンティークフィニッシュ&チェスナットカラーの靴を投入し、アナトミカルで足なりなシルエットを持つラスト「202」を生み出して、英国高級紳士靴のイメージを更新した。その後ファクトリーの閉鎖と再開、フルスティック氏の死などを経て、今なお良質な靴をつくり続けているのは周知の通り。
ラスト「202」はフルスティック氏のレガシーといえる存在だが、実は当初のものと少し違っていて、そのこと自体が同社の激動の歩みを物語っている。少しスマートになった「202」がよく合うのは、スワンネックのディテールを持つ「チェルシー」だろう。過去の同モデルにはなかったこの意匠は、新生エドワード グリーンを象徴するものであり、結果的にキャップトウオックスフォードの美の基準を塗り替えたのだった。
photographs_Takao Ohta
text_Yukihiro Sugawara
雑誌『LAST』 issue.18 特集「サステイナブルな革靴、を選んでみる。」より抜粋。