サステイナブルな革靴とはどういうものか。持続性を3つの項目に分けて考えてみた。果たしてそれは納得できるものなのか?
J.M. WESTON ジェイエムウエストン
677 Hunt Derby
職人の手で縫われる堅牢でタイムレスな靴。
『ジェイエムウエストン』をスタートしたユージェーヌ・ブランシャール氏の父親は19世紀末に靴工場を設立し、ゆえに息子は当時最新の製靴技術、グッドイヤーウェルテッド製法を学ぶためアメリカに渡った。そんなブランドの沿革を反映してか、ジェイエムウエストンの靴づくりには今なお靴職人的なクラフツマンシップを感じさせるところが多々ある。例えば、ファクトリーにおけるウッドブロックを使ったブーツのブロッキング(型づけ)といったことなど。そして同社のクラフツマンシップを端的に表現している靴が、ハンドソーンのステッチを多用したこの「ハントダービー」といえる。コンストラクションはノルヴェジアン製法、それはマシンで縫製するのではなく、職人によるハンドソーン(手縫い)である。さらにアッパーのエプロンフロント(ノルヴェジアン)スタイルのモカステッチと、スプリットトウのステッチが、ハンドステッチによるものだ。ブランド設立当時の雰囲気を今に伝えるような靴、といえるかもしれない。
photographs_Takao Ohta
text_Yukihiro Sugawara
雑誌『LAST』 issue.18 特集「サステイナブルな革靴、を選んでみる。」より抜粋。