サステイナブルな革靴、を選んでみる。
J.M. WESTON 677 Hunt Derby

サステイナブルな革靴とはどういうものか。持続性を3つの項目に分けて考えてみた。果たしてそれは納得できるものなのか?

J.M. WESTON ジェイエムウエストン
677 Hunt Derby

その名が示す通り、かつてハンティングなどのアクティヴィティで使われた靴がベースになっている。ノルヴェジアン製法のコンストラクションに、ダブルレザーソール(自社タナリーのオークバークを使用)、さらにアウトソールのつま先とヒール部にはスチールが配された堅牢なつくり。タイムレスなアッパースタイルとの組み合わせで、長く付き合えそうだ。
¥320,000(ジェイエムウエストン 青山店 03-6805-1691)

職人の手で縫われる堅牢でタイムレスな靴。

 『ジェイエムウエストン』をスタートしたユージェーヌ・ブランシャール氏の父親は19世紀末に靴工場を設立し、ゆえに息子は当時最新の製靴技術、グッドイヤーウェルテッド製法を学ぶためアメリカに渡った。そんなブランドの沿革を反映してか、ジェイエムウエストンの靴づくりには今なお靴職人的なクラフツマンシップを感じさせるところが多々ある。例えば、ファクトリーにおけるウッドブロックを使ったブーツのブロッキング(型づけ)といったことなど。そして同社のクラフツマンシップを端的に表現している靴が、ハンドソーンのステッチを多用したこの「ハントダービー」といえる。コンストラクションはノルヴェジアン製法、それはマシンで縫製するのではなく、職人によるハンドソーン(手縫い)である。さらにアッパーのエプロンフロント(ノルヴェジアン)スタイルのモカステッチと、スプリットトウのステッチが、ハンドステッチによるものだ。ブランド設立当時の雰囲気を今に伝えるような靴、といえるかもしれない。

SIDE
トウ部を横から見た際、グッドイヤーウェルテッドの場合は底面でアッパーが内側に引き込まれる感じになるが、ハンドソーンゆえにそれがなく、安定感を生んでいる。
ABOVE
ウェルトは靴の全周に配されていて、重厚感ある雰囲気に寄与している。アッパーそしてソールを一足一足職人が時間をかけて手縫いするので、生産数も限られている。

photographs_Takao Ohta
text_Yukihiro Sugawara
雑誌『LAST』 issue.18 特集「サステイナブルな革靴、を選んでみる。」より抜粋。

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