彼らの、いま履きたいベーシック。 〜山神孝治(『clothier』代表)〜

個性的かつスタイリッシュな装いで知られる各界で活躍する方々に、「あなたにとってのベーシック」、「いま履きたいベーシック」な靴について聞いた。

山神 孝治(『clothier』代表)
所有する定番靴:Alden Vチップ


無骨さとエレガント。二面性のる魅力が同居するラスト。

 渋谷の喧騒から少し離れた桜丘エリアにある『clothier』は、通好みの品揃えでファッション関係の人々に定評のあるセレクトショップ。オーストリアの老舗ブランド「Schneiders」やスコットランドの「WILLIAM LOCKIE」など品のいいメンズウェアのほかに、70〜80年代のヴィンテージも豊富かつ、状態がすこぶる良好。一度訪れれば、洋服好きたちが集まる理由はすぐに実感できるだろう。

 このショップを率いる山神孝治さんが自身の定番靴として挙げるのがオールデンだ。

「ヨーロッパ靴にはあまり興味がなくて、アメリカ靴を昔からいろいろ履いてきましたが、長く履き続けているのはオールデンばかり」

 なかでも出番が多いのが、アバディーンラストのノルウェイジャンフロントで、ハワイの『レザーソウル』で8年ほど前に購入したものだという。アバディーンラストはオールデンの中でもっとも細身のラスト。エレガントなシルエットには熱心なファンが多い。

「昔、勤務先の先輩がアバディーンラストを履いていて、初めて見たときその細さに驚きました。それで、海外に行った際にローファーを購入したのが1足目。自分の足が細いこともあり、とても履きやすくてハマりました」

 ノルウェイジャンフロントのこの靴は、カジュアルからフォーマルまで、幅広いスタイルに合わせやすいので重宝しているという。さらに、印象的な明るめのブラウンというチョイスにも理由があると話す。

「ダブルソールで無骨な反面、ウェストはシェイプしていて、トゥもシャープ。その二面性が好きですね。僕はほぼ毎日、ベージュのパンツなので、この色がしっくりくるんですよね」

 自分のスタイルを方向づけてくれる靴。頼もしい相棒のような1足だ

山神 孝治 KOJI YAMAGAMI
某セレクトショップ勤務を経て独立。2016年、渋谷区桜丘に『clothier』をオープン。ヴィンテージと直輸入のアイテムをバランスよく扱うことがコンセプト。この冬は、オーストリアのブランド「Schnider」のコートを大量入荷。
http://clothier.tokyo


photographs_Hirotaka Hashimoto
text_Yukihiro Sugawara
◯ 雑誌『LAST』 vol.17 特集「BACK TO BASIC “revised”」より抜粋。

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