彼らの、いま履きたいベーシック。 〜神藤光太郎(スピラーレ 代表取締役)〜

個性的かつスタイリッシュな装いで知られる各界で活躍する方々に、「あなたにとってのベーシック」、「いま履きたいベーシック」な靴について聞いた。

神藤 光太郎(スピラーレ 代表取締役)
所有する定番靴:Il Micio バタフライローファー


第一人者も認めたイタリアきってのモダン・クラシック。

 「英語は最低限話せるので、英語圏以外で語学を身につけたかった。ファッションが好きだったぼくにとって、紳士服飾のルーツのひとつであるイタリアは必然の選択でした」

 大学を休学した神藤さんは足掛け3年、イタリアで暮らした。これが水にあった。そこで知り合ったファッション業界の人脈はその後の人生に大きく役立つことになる。前職のセレクトショップではヒットメーカーの異名をとり、そうして執行役員にまでのぼりつめた。

 「留学中に出会ったのが、ヒデ(深谷秀隆)。一言でいえば、彼には圧倒的なセンスがあった。薄いレザーを折り重ねたバタフライはかつてみたことがありません。僕が知る限り、それはモダン・クラシックの模範解答だった」

 タイ ユア タイの創業者、フランコ・ミヌッチが認めたことからも深谷さんの地力はおしはかれる。深谷さんはミヌッチのヒキがあって日本のビスポークシューメーカーとしてはじめてフィレンツェに店を構えることができた。

 神藤さんが袖を通したジャケットはコットン、リネン、ポリエステルの三者混という軽やかなファブリックを一枚で仕立てたもの。

 「うちのブランドでフィンジャックといいます。ガチガチのクラシックはそれはそれで好物だけれど、働く男が毎日着るものとしてはどうか。サルトリアの技術を駆使して軽やかなコンストラクション、ファブリックを追求しました。しかしそれにつけても、そこにあわせてさまになるイル・ミーチョの懐の深さは素晴らしい。ベーシックといって過言ではないでしょう」

 ビジネスマンのスタイルを想定しつつ、ボタンは2つ開け。2つ開けないと、開けた気がしないと真面目な顔をしていう。

神藤 光太郎 KOTARO SHINDO
大阪生まれ。大学卒業後、某セレクトショップ執行役員を経て2018年11月、スピラーレを設立。イタリア・ファッション業界で培った人脈を駆使してニット・ブランド、ランベルト・ロザーニなど注目のブランドをずらりと揃える。来春からはあのセバゴの総代理店に。


photographs_Yoshihiro Tsuruoka
text_Kei Takegawa
◯ 雑誌『LAST』 vol.17 特集「BACK TO BASIC “revised”」より抜粋。

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