いま、紐靴はこう履きたい|坪内浩

HIROSHI TSUBOUCHI|Full Brogue Shoes

フレンチの仕上げは厚底のクレープ。

「60年代から70年代初頭のレノマや(イヴ)サンローランはいまも愛してやみません。(ピエール)カルダンを嚆矢とするコンチネンタル・スタイルの足元を飾っていたのが、厚底のシューズでした。 若いころに憧れたスタイルですから、まさに〝三つ子の魂百まで〟ですね」

 坪内さんは数年前につくった『ヒロシ ツボウチ』に、『エムズ・ブラック』のセットアップを合わせた。

「ぼくはどのジャンルもまんべんなく好きです。ひと昔前はトム・ブラウンばっかり着ていましたしね。あのつんつるてんを格好良くみせるさじ加減には痺れました。つまりぼくが大切にするのは、そこにあたらしい解釈はあるのか、ということ。この点でエムズ・ブラックはいいセンついていると思う」

 もちろん靴も負けてない。厚底のクレープソールにフルブローグを載せて、上品な舌触りを残すさじ加減は絶妙だ。

洗いをかけてくったりさせたチェック柄のウールを丸みのあるシルエットで仕上げたセットアップはモダンのひと言だ。足元にもってきたのは、フルブローグを載せた厚底のクレープソール。いつもより丈に余裕をもたせたパンツがドレープの美しさを際立て、靴に負けない雰囲気を放っている。「このセットアップは、どちらかというと80年代のアルマーニ的かも。英国的なものを採り入れつつ、フレンチなテイストに仕上がっている。パターンオンパターンはもはやぼくのアイコン(笑)」

Hiroshi Tsubouchi
坪内 浩
エスペランサ靴学院第3期生。靴業界のコンサルティング会社、ジャルフィックを経てインポーター、マグナムの創立に参画。プレミアータ ウォモやエンツォ・ボナフェを日本に紹介した。2008年、ヒロシ ツボウチをローンチ。


photographs_Hirotaka Hashimoto
text_Yukihiro Sugarawa
○雑誌『LAST』isuue.19 「いま、紐靴はこう履きたい|山本裕平」より抜粋。

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