次世代の革靴を考案。『ルコックスポルティフ』のクラフテッドスニーカー

社会とコミットしたフットウェアとして。靴職人・五宝賢太郎氏が、スポーツブランドと組み生み出す靴。それはスニーカーというよりも、社会の実情を反映したフットウェアに仕上がった。

靴職人の提案する新しい「le coq sportif(ルコックスポルティフ)」

埼玉と東京にて、靴修理やオーダーメイドの靴づくりを行う『GRENSTOCK(グレンストック)』を営む五宝賢太郎氏。今回『ルコックスポルティフ』からリリースされる新しい靴の企画やデザインを手がけている。五宝氏はこれまでも革靴やデザインシューズ、スニーカーなど、さまざまな靴の企画に携わってきた。

「ルコックスポルティフに関しては、ここ2年半ほど関わっています。担当者の山中さんが設定してくれたのは、〝クラフテッドスニーカー〞という枠組みでした。それを受けて、ソーシャルな意味でのマーケット・インの具現化、というスタンスを考えました。

『ルコックスポルティフ』のクラフテッドスニーカー、最終サンプル。ソール側面の波頭状に盛り上がった形状がサイドリガーで、これにより足のブレを抑えている。アッパーにはシュリンクレザーを使用している。
ソールの中足部後ろから踵上部に向かって、アーチ状に盛り上がっているところにヒールクリップが内蔵されている。ソールとヒールクリップの間には芯などは入っていない、独特な構造。

今のライフスタイルに応えるニューノーマルな靴

社会の状況に対して、どのくらいコミットできるか。ニューノーマルといった言葉も囁かれる中での、今のライフスタイルに応える靴のあり方、ということです」ルコックスポルティフ担当の山中康裕氏は、五宝氏が指摘する社会の状況に対して、シューズマーケットはまだまだ応えられていない、と語る。「例えば私自身スポーツブランドのスニーカーは好きですが、それを履く、履けるオケージョンは、週末のオフタイムしかないのが実情です。今やワーキングスタイルの足元としてスニーカーでも問題はないのに、週5日履ける靴ということへのアピールは不十分です。もっと日常のビジネスシーンで履くスニーカーに、バリエーションをつけたいと考えました」

右:山中康裕 デサントジャパン
『ルコックスポルティフ』マーケティング部門、フットウェアMD課課長。今回の五宝氏との「クラフテッドスニーカー」プロジェクトの責任者である。スポーツメーカーがつくるスニーカーとは一線を画すものづ くりを目指したと語る。
左:五宝賢太郎 靴職人・デザイナー
靴工房『GRENSTOCK(グレンストック)』代表。埼玉県蕨市の靴職人・稲村有好氏に師事し、その後工房を引き継ぎ独立。靴修理からオーダーメイドの靴づくり までを行う傍ら、さまざまなブランドの企画やデザインも手がけている。
ISETAN靴博2020にて発表された、『ルコックスポルティフ』のバリエーション。オフィサーシューズタイプとともに、アッパーにメッシュ素材を使ったよりスニーカーライクなモデルもラインナップ。オブリークなラスト形状を反映したアウトサイドの丸みがよくわかる。

五宝氏は山中氏らとさまざまに検討を重ね、オフィサーシューズのようなシンプルなプレーンダービーのスタイル、そしてコンフォートなオブリークラストを導き出した。「スポーツメーカーのつくり方だと、ダービーの羽根の間はかなり開いてしまいます。それをオフィサーシューズのような感じにどれだけ近づけるか、やりとりを重ねました」と五宝氏。それはスポーツメーカーのスニーカー基準のものづくりに、どの程度ドレスシューズ的なセンスを盛り込むかということだった。
その一方で五宝氏は、革靴のつくり方でNGなところも、スニーカーではOKになるとも。今回踵部分は革靴にあるようなカウンター(芯材)ではなく、ヒールクリップという、踵上部を押さえる構造でホールドしている。またソールユニットにはサイドリガーを設けて、横ブレを防止している。「このあたりの発想は、革靴とは違うところです」と五宝氏。
さらにこう続けた。「オフィサーシューズを念頭に置いたのは、どちらかというと制服のようなものがいいと思ったからです。一見普通だけれども、コンフォート性や活動性などは担保されている。何というか、それはシューズやスニーカーというより、〝フットウェア〞という感じでしょうか」

今回のクラフテッドスニーカーのコンポーネンツ。ミッドソール(右から2 つ目)は、足前半部(白色部)に高反発性、足後半部(黒色部)に低反発性の素材を組み合わせている。またインソールも、踵からアーチ部にかけてホールド感をもたせている。
取材当日の五宝氏の足元には、履きこまれたプロトタイプが。「これを履いて、早朝東京湾で釣りをした後仕事場に行ってます。なかなかいい感じですよ」とのこと。ニューノーマルを実践?

photographs_Satoko Imazu

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