現代的でコンフォートなビジネスシューズというと、パフォーマンス性を盛り込んだ樹脂製ソールなどを接着した靴を連想する人が多いかもしれない。メンズドレスシューズの代表的な製法のひとつ、グッドイヤーウェルテッド製法は、伝統的でクラフツマンシップ溢れるつくりである一方で、機能性という点で現代のニーズに応えるのは難しい、そんな風に考えるとしたらそれは早計だ。
そもそもグッドイヤーウェルテッド製法が紳士靴の代表的製法として存続してきたのは、そこに時代を超える普遍的な機能が備わっていたからで、伝統こそが靴としての機能性を雄弁に物語っているともいえる。もっともグッドイヤーウェルテッド製法においても、時代の要請に応えたさまざまな改良は存在する。その進化したアプロ ーチが、リーガルコーポレーションが手がける「リーガルエアーローテーションシステム」である。
靴内部に空気の流れを生む「リーガルエアーローテーションシステム」
通常靴の通気性は、内部に籠もる湿気をいかに逃がすか、ということが言及されがちだが、この「リーガルエアーローテーションシステム」は、歩行時の接地圧力を利用して、ヒールに内蔵された「ベンチレーションポンプ」がフイゴのように気流を発生させ、ソール上面に配された「エアガイ 」や、通気性のある「ファイバーストレッチインソール」、さらにはレザーインソールに設けられた「サーキュレーションベント」を経て靴内部へ空気の流れが生まれるようになっている。そして内部の空気はトップライン(履き口)から外に排出されるが、ライニング表面には凹凸が配されて、より空気が通りやすいようになっている。
快適性をもたらす「リーガルエアーローテーションシステム」のソール構造
ソールの構造で用いられるパーツは以下である。写真上から、「エアガイド」という空気が通る溝を配したラバーのアウトソール、その上に接着する空気が通る穴を配したミッドソール、通気性ある中物「ファイバーストレッチインソール」、そして「サーキュレーションベント」をつけたレザーインソール。
ヒール上の星型状の「ベンチレーションポンプ」が発生する気流が、これらの内部構造によって靴内部に空気の流れをもたらす。グッドイヤーウェルテッドの構造やレザーインソールの素材特性を活かしながら、快適性を生み出している。
このシステム、グッドイヤーウェルテッドの構造と紳士革靴の特性に関する同社の深い理解から導かれているのは瞭然だ。ラバーアウトソールの特長を損なわず、着用状態を快適にするテクノロジー、グッドイヤーウェルテッドはまだまだ進化の余地がありそうだ 。
蒸し暑い日でも快適なグッドイヤーの靴に!
photographs_Toru Oshima
styling_Tomohiro Saito
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リーガルコーポレーション
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