木型は木型職人の松田氏に製作を依頼。見え方などに関しては津久井氏の要望が反映されている。
靴職人・関信義氏のもとに弟子入りして靴づくりを修得し、職人として独立後28年になるという津久井玲子氏。『レコット』ブランドをスタートしたのは2010年。当初はビスポークのみだったが、2011年の半ばぐらいからMTOを開始した。
津久井氏の中ではビスポークは靴職人としてのやり方のひとつであり、元々やりたいと思っていたのはMTOだったという。そしてベースラスト作成は木型職人の松田哲弥氏に依頼した。この判断には、紳士靴は自ら履くというより、履いてもらったものを見る、という津久井氏独自の紳士靴に対するスタンスも影響している。1年の開発期間を経て完成したのはラウンドトウの、後部に屈曲感がある木型。そしてMTOでは9型のスタイルが用意されている。
デザイン的なオプションはメダリオンのバリエーションなど。オーダーはフィッティングシューズを履いてサイズとウィズ(DとEがある)を選ぶ形。木型微調整は津久井氏が必要と判断した場合に行い、乗せ甲の場合もある(料金込み)。仮縫いはなし。製法はハンドソーンウェルテッド、マシンアウトステッチ(9分仕立て)が基本だが、ハンドラスティングとマッケイ製法の組み合わせも可能。ハーフミッドソール(スペードソール)やダブルソールを選ぶこともできる。マシンアウトステッチは外注だが、他は仕上げまで津久井氏が手がけている。英国的でも、イタリア的でも、さらに日本的でもない、どこにも属さないような存在感の靴を、目指しているという。
PRODUCT SPEC
▼製法
ハンドソーンウェルテッド、マシンアウトステッチ(9分仕様)。マッケイ製法もあり。
▼オーダー概要
フィッティングシューズを着用し、適合するサイズを選択。さらに津久井氏判断でフィッティング木型の微調整を行う場合も。仮フィッティングなし。デザインは9型、パーフォレーション等多少の仕様変更は可能。
▼ソール仕様
レザーソール、スペードソールやダブルソールも可能。
▼納期
約4ヶ月
▼付属品
ボックス。別途シューツリー切削をする場合もあり。
▼価格
¥176,000~
LECOTT(レコット)
電話:03-5246-4555
Mail:lecotts@gmail.com
備考:要予約。年2回 渋谷、池袋の西武百貨店、年1~2回京都のテーラー・ピッコロ京都にて受注会を開催
photographs_Takao Ohta
〇 LAST issue21 より