達人たちに聞いた、テーラードウェアとドレスシューズ。阪急メンズ メンズファッション 芝崎優輔氏

ドレスシューズとの着こなしで、相性が最適ともいわれるスーツやジャケットのテーラードウェア。いま改めてその魅力と、「着方」そして「履き方」を考えるために、テーラードウェアの担い手を中心に、達人たちを訪ねた。

『サルトリア・ラファニエロ』製のネイビースーツを着た阪急メンズ メンズファッション バイヤー 芝崎優輔さん。紳士服の担当になって以来、定期的に、あえて堅めのスーツスタイルを選んで着用しているという。この日はタイやシャツなどをネイビーカラーでまとめていた。

“スーツを着ると、仕事しよう、という気になるんです”

「阪急メンズの芝崎さん」というと、長年紳士靴のバイヤーとして知られた存在だった。現在は阪急メンズ大阪の、オーダー・スーツなど紳士服を担当している。リモートワークが進む昨今、スーツをめぐる環境は厳しいのでは、という問いに、芝崎さんは次のように答えた。

「若い人の間では、スーツは自分を〝格上げ〞してくれる服、という感覚があります。そこで、セオリーなどはひとまず置いて、オーダー・スーツをかっこいいものとして提案したところ大きな反響がありました。お客さまにルールを押し付けず、ご希望を伺って共感するスタイルのオーダーメイドです」。さらに最近は身体を鍛えていて、既製品が合わない若い人も多いことから、オーダーメイドには可能性があるとも。

ビスポークシューメイカー川口昭司さんのブランド『マーキス』のフルブローグ。ヴァンプラインのブローギングをあえてなくした独特なスタイル。ポリッシュは芝崎さん自身によるもので、そのクオリティの高さは彼のインスタグラムでも垣間見える

芝崎さん自身も、もう一度基本的なテーラードのスタイルを知りたいと、現職になってからは定期的にスーツを着るようにしている。その結果、好んで黒の靴を履くようになった。「これは、日々普通に履けるものをと、『マーキス』でオーダーした靴です。靴は十数年担当していたので、確信めいたものがあるのですが、スーツはまだまだわからないことがあります。ただ、やはり長く着られるものは、日々着られるものでもあり、その点はドレスシューズもスーツも同様ですね」

『サルトリア・ラファニエロ』製のスーツの背中側。春夏向けの薄く繊細な生地を使いつつ、身体に合わせた適度なドレープ感と構築性が感じられる。「靴もスーツも、そのスタイルもさることながら、つくる人の人柄で選んでいるところがあります」と芝崎さん。
スーツと靴の着こなしに合わせた時計は、『ジャガー・ルクルト』のレベルソ。レクタンギュラーの文字盤がこの日の装いによく合っていた。

Yusuke Shibasaki
阪急メンズ ラグジュアリー商品部メンズオーセンティック担当バイヤー。阪急メンズの紳士靴バイヤーを長年務めた後、2022年より現職。テーラードウェアからラグジュアリー、そして紳士靴まで幅広くカバーしている。

photographs_Satoko Imazu
〇 LAST issue.22より


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