プロが教えるシューケア - Y’s Shoeshine –

アンティークの什器を揃えコージーな雰囲気の旧店舗(現在は移転)。行きつけのバーに入ってくるような感覚。

静岡を拠点に靴磨きを行う杉村祐太氏が薦めるケアとは。

レクチャーしてくれたのは
杉村 祐太 さん
2018年に行われた「第 1 回 靴磨き日本選手権 」で3位を獲得。さらに、2019年に英国・ロンドンで開催された「World Championships in Shoe Shining 2019」で優勝。独学で靴磨きを学び、会社員時代はもぐりで磨いていた。それがストレス発散になっていたそうだ。「今は好きなことが仕事になって嬉しい」という。


杉村祐太氏によるシューケアをじっくり解説。

まず靴紐を取る。羽根のところにもほこりは溜っている。特に外羽根の靴は日常のベーシックケアの時もこの手間を惜しむことなかれ。はずした時にきちんと紐の点検も行うべし。

馬毛のブラシで靴全体のほこりを取る。杉村さん愛用のブラシは江戸屋。もちろん羽根とベロの際もきちんとブラシをかける。しわの部分はしわにそって、力を入れずともほこりをかき出す気持ちで。

コバとアッパーの境目にはやはりほこりが溜るもの。残ったプロダクトと混ざりあったりしている場合、取れにくくなっていたりするので、そこはブラシのエッジを立てて隙間に毛を入れ込んで念入りに。

もっと細部のほこりは馬毛の小さな歯ブラシ状のもので取ろう。これがとても使いやすい。ひとつ持っておきたい便利な道具のひとつだ。例えば羽根の際、ブローグ、ローファーの甲のそうじにも使える。

木型を入れる前に靴の内側を市販のフェイス用のウェットティッシュで拭く。インナーも汗などで汚れるもの。清潔に保ちたい。食物にもかけられる人体に害のないアルコールなどで殺菌するのもいい。

もしライニングが乾燥しているようなら保湿のためにデリケートクリームを塗っておく。つけすぎないように注意すること。インナーの手入れが終わったところで木型を入れる。

毎回の手入れには強いクリーナーは使わない。弱いものを布が滲む程度にほんの少しだけ。月1でプロに手入れを頼んでいる靴ならクリーナーでなく、固く絞った雑巾で拭くだけでもいい。

クリーナーをもう一方の手のひらにつけて揮発させて量を調整する。全てのプロダクトの量は控えめが正解。フルケアの時はしっかりとやればいいが、それ以外はやり過ぎると革にダメージを与える。

クリーナーは手早く、軽く、サッと表面を撫でるだけ。とにかく少量で、革に染み込む前に揮発してなくなる程度にしておく。それだけで前のお手入れで残っていたプロダクトなどは取れる

サッと撫でただけでこれだけ色がついた。ちなみに布はコットン100%。静岡県は遠州コットンが有名。牧場も多いので、静岡県産の靴磨き用ブラシやコットンもいつか作ってみたいという。

ケアのためにサフィールのデリケートクリームを使う。モーブレーでもいい。杉村さんが指に取ったのは本当にほんの少し。布やブラシで取ると量が多くなりがち。指で取ると量が把握しやすい。

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