靴を仕立てる。【クレマチス 銀座】

いまや世界的にもその存在が取り沙汰される日本の職人たち。今回は比較的アクセスしやすい東京と関西を拠点としている靴職人をガイドする。


CLEMATIS GINZA

名職人の靴づくりを受け継いだ、日本の靴。

WORKS
サイドエラスティックのホールカットに、ステッチやカラーレーションでローファーのパターンを配したニスポークのサンプル。海外の顧客より日本の顧客に、こうした独創的なスタイルは人気があるという。

 名靴職人として知られた関信義氏のもとで修業した後、自身の靴店『クレマチス』をスタートした高野圭太郎氏。オープンして10年が経ち、現在は木型づくりやボトムメイキングを高野氏が行い、アッパーを千葉知恵美氏が担当している。香港や上海など、海外からのオーダーも多く、製作足数の半分ほどになるという。「海外の方々からは、いろいろなスタイルのミックスで、独特だと言われますね。どこで靴づくりを学んだの、とも」と高野氏。1インチ18針の、関氏譲りの美しい出し縫いが香港のショップ『プロローグ』の担当者の目に留まったことが、トランクショーのきっかけだったという。

 さらに、長年続けてきて、靴づくりはより熟成していると思います、と高野氏は語る。例えばすくい縫いは中底の傷みを少なくするよう糸を吟味し、ピッチも広め。踵部は底鳴きを避けるためにあえて釘を使う。そして当初はどの顧客にも同様の合わせ方を行なっていたが、現在は個性やオーダーの内容によって変えているとも。「体型の違い、または年配の方と若い方で、同じつくりはないと思います。スチールのシャンクも、革シャンクも使います。木型、パターン、つくり。全ての要素で合わせていくのが、私たちの靴づくりのスタイルですね」

アッパーのクロージングを行う、同工房の職人・千葉知恵美氏。
高野氏のベンチ(作業台)。その高さや雰囲気は、師匠の関氏を彷彿とさせる。
フルビスポークオーダーの顧客の仮縫い。ブーツはシャフトの要素もあり、フィッティングはさらに難しい。

SHOP INFO
CLEMATIS GINZA

価格・納期などの目安
セミビスポークオーダー(ハウスラスト)
¥230,000〜(九分半仕立て)、¥315,000(フルハンド)
フルビスポークオーダー(マイラスト)
¥290,000〜(九分半仕立て)、¥375,000〜(フルハンド)
仮縫いは1回、納期1年〜

住所:東京都中央区銀座1丁目27-12 銀座渡辺ビル 2F
電話:03-3563-8200
HP:http://www.clematis-ginza.com

※この特集中の価格、納期などはあくまで参考です(2019年4月時点)。素材や製法、各店の状況によって変わることもあり、オーダーをお考えの場合は各靴店にお問い合わせください。なお、表記価格は特記なき場合はすべて税抜きです。
※各店とも、基本的に要予約です。連絡先や各ホームページからご連絡ください。


photographs_Satoko Imazu
photographs_Hirotaka Hashimoto
text_Yukihiro Sugawara
○雑誌『LAST』issue.16 「Shoemakers in Japan 2019 靴を仕立てる。」より抜粋

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