靴を仕立てる。【ビスポーク・シューワークス・ユイゴ・ハヤノ】

いまや世界的にもその存在が取り沙汰される日本の職人たち。今回は比較的アクセスしやすい東京と関西を拠点としている靴職人をガイドする。


Bespoke Shoe Works Yuigo Hayano

英国の木型から、導かれた靴づくり。

WORKS
クロコダイルレザーを使った、セミスクエアトウのスリップオン。独特なボリューム感のあるトウ部に注目。

 2017年スタートながら、伊勢丹新宿店でのオーダー会等で公表を博し、靴好きたちの間でその名が一気に知られることになった『ビスポーク・シュー・ワークス・ユイゴ・ハヤノ』。靴職人・早野唯吾氏は、日本で靴づくりのキャリアを積んだ後、渡英してジョン・ロブ・ロンドンのラストメイカーだったスティーヴン・ロウ氏に師事しラストメイキングを学んだ。その後帰国し、英国のシューメイキングをベースとした自身の靴づくりを開始。現在、仮縫い用モックアップこそ弟子が製作する場合があるものの、ラストメイキングからパターン、クロージング、ボトムメイキングまで、ほぼ全ての工程を早野氏が手がけている。「どの工程でも自分の手を動かすことで、お客様ごとのラストの特徴を捉えて仕上げることができます」と早野氏。その一方で英国流へのこだわりが端的に表れているのが、ジョン・ロブ同様に紙のテープを使った採寸。「メジャーの数値だと、数字としての切りの良さに引っ張られてしまう可能性があります。紙のテープだと、手の感覚に集中して締め具合を決められます」とは早野氏の説明。もっとも計測箇所はジョン・ロブよりも少し多く4〜5箇所。さらに前述通り仮縫いもあり、初回オーダーの際は2回になることもあるという。

仮縫い用の靴。「トライオンというよりモックアップですね」という早野氏の言葉通り、フィッティングだけでなくスタイルなどの確認も兼ねた仕上がりになっている。
木型の切削をする早野氏。自身の靴づくりのほか、ラストメイカーやモデリストとしても活動している。
褐色のテープ状の紙が採寸用のもの、採寸箇所に巻いてマーキングしていく。

SHOP INFO
Bespoke Shoe Works Yuigo Hayano

早野唯吾氏

価格・納期などの目安
ビスポーク(シューツリー込み)
¥338,000〜
仮縫いは基本1回、納期11ヶ月〜1年

住所:———
電話:03-6356-9125
HP:http://www.yuigohayano.com

※この特集中の価格、納期などはあくまで参考です(2019年4月時点)。素材や製法、各店の状況によって変わることもあり、オーダーをお考えの場合は各靴店にお問い合わせください。なお、表記価格は特記なき場合はすべて税抜きです。
※各店とも、基本的に要予約です。連絡先や各ホームページからご連絡ください。


photographs_Satoko Imazu
photographs_Hirotaka Hashimoto
text_Yukihiro Sugawara
○雑誌『LAST』issue.16 「Shoemakers in Japan 2019 靴を仕立てる。」より抜粋