『Paraboot(パラブーツ)』 山麓の新ファクトリーから生まれる、アクティブ・ドレスの現在進行形。

Rubber Sole
パラブーツのDNA、自社製ラバーソール。

棒の状態から一つづつハサミで切り分けられた、ソール用のラバー。

工場の入口付近に設けられたラバーソールの製造装置の数々。奥のソール成型機は、移転以降調整が長引き、取材班が訪れた前日に再稼働したばかりだった。20トンを超えるゴム圧延用の古いカレンダーロール機は旧工場から重量オーバーのため移動できず、やむなく新調することに。

ソールの成型。ワッフル焼き器のように金型に挟んで熱を加えて成型・加硫させる。金型からはみ出た余分な部分は、冷却後に専用の機械で切り取る。

Material
仕上がりの差を生む、最高品質の素材。

グッドイヤーウェルテッド製法に欠かせないリブを中底に貼る。中底はタンニンなめしのゴートスキンを使用。

左の写真は、棚に保管されたさまざまな色と幅のウェルト。右の写真は、アッパーに使われる革各種と、ライニング用のムートン(左上)。フランスのタンナーのものが7割。近年は革の確保が量、質ともに困難な状況にある。食肉産業の副産物である革の品質を確保するため、畜産農家レベルから家畜の飼育環境や健康状態の向上が求められる。

Upper Making
革の表情を読み取りながらの、丁寧な製甲。

工場で最も明るく自然光が注ぐ窓ぎわには、ミシンの作業机が並ぶ。裁断された甲革のパーツを組み立てて縫製する工程。新人が社内訓練を経て、仕事を完璧にこなせるようになるまで3年はかかるという。

自動革裁断機を使い、パーツを切り出すための準備。

自動裁断機ほか、抜型の利用、さらにハンドクリッキングなど、その時々のニーズや靴種に応じて臨機応変に対応(左の写真)。80年間も現役の機械を使ったモカシン縫いの作業。古い機械のほうが使いやすい場合が多い。古い機械は交換部品の確保のために、他企業や工場から要らなくなったマシンを随時買い取り、社内に保管している。

靴型に被せられ、つり込み作業を待つ甲部(左の写真)。シワや歪みが生じないように甲部を木型に乗せて成形。靴の顔立ちを決めるこの重要な作業では、職人の経験とセンスが問われる。

次の工程に移る前に、つり込まれた甲部に熱や蒸気を加えて革を馴染ませるコンディショニングの工程。

Bottom Making
靴の特徴を決める、底づけの技術。

ウェルトのすくい縫いの工程。専用のミシンを使い、インソールのリブとウェルト、アッパーを合わせて一緒に縫い合わせていく。

ボトムにやすりを掛けて、接着剤を乗りやすくする(左の写真)。接着剤はあくまでも次の縫い合わせの工程まで持たせる程度の強度だという。
グッドイヤーウェルテッド製法のレザーソールのモデルの中物には粒コルクではなく、シート状のものを使う方向へ切り替えた(右の写真)。粒コルクに混ぜる接着剤が原因でヘタリが起きることや、接着剤の溶剤がおよぼす健康への影響を考慮した結果である。

ノルウィージャンウェルテッド製法で、ラバーのミッドソールを縫い付ける(左の写真)。ノーズとヒールの両方を機械に当てながら、パラブーツならではの幅広のウェルトをならす工程。

Finish
丹念な仕上げの工程

靴全体にクリームを丁寧に塗り込んで仕上げる。

完成した靴は整然と並べられて箱詰めを待つ。品質管理は各製造段階で行い、箱詰め担当者が最後の確認をして完了。手前は日本でも人気のUチップ「シャンボード」。色は奇をてらわず、「皆が選んで履く色だから」と黒や茶が圧倒的に多い。

Heritage
企業の開拓者精神を物語る、遺産の数々。

社内に現存する最古の自社の靴。釘の滑り止めを付けた木底(右)と、1926年以降、釘で固定させた初期のラバーソール(左の写真)。アーカイブ資料より、右の男性は1971年、ガリビエの靴を履いて北極へ挑んだ探検家ポール=エミール・ヴィクトール(右の写真)。

本社のアーカイブコーナーに飾られたゴム製のオールインワンは、創業者レミー・リシャールが提案した、救命ボートならぬ救命服の試作。1932年、これを着て当時の大統領の前でセーヌ河に浮かぶ実演をした。

Paraboot
フランスの総合シューズブランド「パラブーツ」は1927年誕生。メーカーは1908年創業の「リシャール・ポンヴェール」社。仏南東部の山岳地帯を拠点に、創業時より自社工場で一貫生産を貫く。2016年末、創業地イゾーにほど近いサン=ジャン=ド=モワランに新本社と工場が移転。「パラブーツ」を主に、本格登山靴「ガリビエ」、業務用安全靴「パラショック」も展開。
https://www.paraboot.com/


photographs_Takeshi Miyamoto
text_Yuki Tamura
◯「LAST」issue12 /特集 リラックス&ドレスの靴を求めて。『
Paraboot 山麓の新ファクトリーから生まれる、 アクティブ・ドレスの現在進行形。』より抜粋。

タイトルとURLをコピーしました