「1足目の革靴、どう選ぶ?」

ショップスタッフとシューシャイナーが語る、靴選びの本音。

ショップスタッフK
某シューズフロアの販売スタッフ。靴の専門学校で靴づくりを学んだのち、靴と靴を履く人の間を繋ぐ役割を担いたいと、現在の仕事を選んだ。
シューシャイナーT

革靴歴10数年のベテラン。現在はリペアショップにて、シューシャインのほか、シューケア指導や、シューケアグッズの開発なども行っている。

「まずは見た目から入って、買うのでいいと思う」T

ー今回は靴磨きという立場で靴を数多く見てらっしゃる方と、日々お客さまに対応されている靴売り場の方に、1足目の革靴として何を選んだらいいのか、ざっくばらんに伺いたいのですが。
T 靴に詳しい人たちは、あそこの靴はこうだからやめたほうがいいとか、この靴はこういうパーツ使ってるからいいとか言いますが、結局、自分が好きじゃないと履かないと思いますね。
K そのとおりです。
T 見て、かっこいいと感じて、気に入って。そういう意味では、まずは見た目から入って、買うのでいいと思うんです。他の人の意見とかは、その後でいい。自分が気に入るかどうか。
K 確かに。私自身、最初の革靴は古着店で買った、コールハーンのビットローファーです。専門学校時代に買いました。私、足のサイズが実測26センチ程度なんですけど、サイズ10の靴を買っているんです。それを半張りやサイズ調整などをして、ようやく履ける状態になりました。でも、店頭のその靴がすごく素敵に見えて、やっぱりビジュアル先行で、それが欲しいと。

「最初の靴って、すごく強い」K

T それを正解というと語弊はあるかもしれないけど、結果的に大事にしませんか?
K すごく大事にしました。今でも持ってます。
T それ、よくわかります。僕も最初は靴の知識ゼロで、『アルフレッド・バニスター』の靴をビジュアル優先で買って。それは履きつぶすぐらいまでしっかり履きました。修理の知識がなかったから、そのまま捨ててしまいましたけど。思い出としては、ちゃんと残っています。
K 最初の靴って、すごく強いですよね。
T そう。自分でバイトしたお金で買って。でも、その靴の塗装がどんどん剥がれてしまうのが嫌で。靴クリーム塗ってツヤは出るけど、全く補色はできない。なんで駄目だったのかな、次はもうちょっとこういうものを買いたいとか、革靴をより深く知るきっかけになりました。だからもしかしたら、1足目はそんなに奮発する必要はないかもしれない。

ー今、スニーカーは高いものだと2万円台後半ぐらいでしょうか。だから、革靴を買うとしたら、それプラス1万円から2万円ぐらい?
K 2万円から4万円ぐらいでしょうか。若い人たちが自分で買えるものということでしたら。
T スニーカープラス1万円ぐらいだったら出せるかも、というところだと思います。
ーおふたりとも、今の仕事は靴関連ですが、最初なぜ革靴を買おうと思ったのですか? その前はスニーカーだったでしょう。
T 当然スニーカーです、Bボーイ系でしたから。その当時はアディダスのローテクスニーカーしか履きませんでした。でも、少しお恥ずかしい話ですが、その時付き合っていた彼女の影響かもしれません。ドレッドの髪はいいけど、その格好はもうちょっとなんとかして、という感じで。
K 僕も中学生までBボーイですが、彼女の影響でギャル男に。その後、専門学校に入って、ちょっとコンサバなスタイルに落ち着きました。そういう時期の革靴への憧れって、どのブランドの何って、結構決まってくると思います。例えばグッチのビットローファーとか、ブーツだったらサンローランが履きたいとか、ハイブランドがまず一番目にあって。でも当時はそれに似たものを探すしかなかったので、買ったのがコールハーンだったんです。

「一足目には、カーフ(牛革)を選びたい」T

ー今から革靴を買おうと思っている人たちに対して、これはちょっと気を付けたほうがいいということはありますか?
T 僕としてはプリントレザーやガラスレザーは避けた方がいいということでしょうか。1足目こそカーフなどのスムースレザーを選んでほしい。メンテナンスすればずっと保つし、経年変化がきれいにハマったら、かっこいいと思える時がくると思います。そこから、じゃあ次はこの色の革を選ぼうという気持ちにもなれると思うので。ガラスレザーだと割れちゃったり、プリントだと剥がれた場合にメンテナンスしづらい。また色味の経年変化もあまりありません。

「サイズも大切だけど、まず紐靴を」K

K 僕の場合、最初がローファーで、サイズ選びのミスが響きました。そこで、1足目は紐靴のほうがいいと思います。サイズが多少大きくても、紐靴であれば調整が利くところもあるし、紐を結んだ上での馴染み方なども、勉強になると思うので。

「みんな、はじめての時はわからないから」T

ー見た目で買うとして、それは靴がたくさん並んだ所に見に行けばいいということでしょうか。
T それこそ、Kさんみたいなスタッフがいる売り場で、まず聞いてみる、かっこつけないでね。みんな、革靴はじめてのときは分からないから。いまは雑誌やネットにいろいろ情報はあるし、知り合いに聞いてもいいけど、靴の売り場にいる人たちが一番よく知っているはずで、彼らに直接聞くのが早いと思います。
K ぜひ、そうしていただければと思います。僕たちも、等身大にお伝えいただいたほうが、接しやすいというか、こちらとしても、それに合わせていろいろお伝えできます。その時お買い上げいただけなかったとしても、正しく靴についてご理解いただければ、それはそれでいいのかなと。
T お、言いますねー。でも靴好きって、そういうことだよね。

photographs_Satoko Imazu
〇 雑誌『LAST』 issue.20 より


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