個性的かつスタイリッシュな装いで知られる各界で活躍する方々に、「あなたにとってのベーシック」、「いま履きたいベーシック」な靴について聞く連載企画。
今回話を伺ったのは自身のブランド『H.Katsukawa』を手がけるシューデザイナーの勝川永一さん。オールデンのプレーントウを長年愛用してるという。その魅力について語ってもらった。
今っぽくもありながら伝統的でもある。白い靴という選択肢。
独自開発の皮革など、素材にこだわった靴づくりを手がけるシューデザイナーの勝川永一さん。オールデンの白のプレーントゥを20年以上愛用していると話す。
「24年ほど前(取材当時より)に上野の古着屋で見つけました。モディファイドラストの白いレザー。しかも旧ロゴなんですよ。おそらく実際に足の悪い方が履いていたのでしょう、ヒールの高さが左右違う。店の人は売り物にならないと言っていましたが、すぐに手に入れました」
その後に靴メーカーに勤め、自身でヒールを直して以来、長く定番靴だという。「靴の踵にはカウンターというパーツが入っていますが、オールデンのモディファイドラストはホールド力が強くて履きやすい。この靴は60年代後期から70年代前期のものだと思うのですが、クオリティはさすがの一言」
さらに白なのもいいと勝川さん。「ホワイトバックスに代表されるように、白い靴の歴史は長い。メーカー勤めの頃、伝説の木型職人の横山盛行さんと2年間ほどご一緒させていただいたことがあります。横山さんが白粉でホワイトバックスをきれいにするのを見ていて、その頃に白い靴への憧れが生まれました」
2019年の春夏では自身のブランドから白い靴のラインアップも発表。純白のピッグスキンを使い、ローファー、プレーントゥ、チロリアンの3型を発表した。「自分にとって定番の白を広く伝えたい気持ちもありました。いまはスニーカーブームですし、受け入れやすいかもしれないですね。ダークカラー系のスタイルにも合わせやすいですよ」
季節を問わない白い靴。この秋冬のコーディネートに加えるのも楽しそうだ。
Eiichi katsukawa(勝川永一) プロフィール
国内の靴メーカーを経て渡英。ポール・ハーデン氏にインターンとして師事。帰国後、2007年に自身のブランド『H.Katsukawa』を設立。従来、革製品には使われないニベレザーなど独自の皮革を用いた靴作りに定評がある。http://hkatsukawafromtokyo.net
text_Daisuke Saito, photographs_Kazuhiro Shiraishi
○ LAST isse17 より