革靴を構成する要素とは?
一足の革靴は、どんな要素で構成されているのだろうか。高い品質で評判の『スコッチグレイン』に協力してもらい、同ブランドの人気モデル「セミグローブ」のパーツを借りて説明する。
パーツを見てわかるのは、靴として外側から見えているのは、靴の構成要素としてはほんの一部だということ。ここではさらにその内側を探っていく。


人の足の形状をもとにしてつくられた、靴をつくるための型。木製ではないが通称「木型」。
靴は大きく分けてアッパーとボトムで出来ている。
【アッパー(甲革、靴上部)関連】

靴(片足)の上部外側を構成する革のパーツ。フランス・アノネイの革を使用。

靴上部の内側、足と接する面を構成する革のパーツ。『スコッチグレイン』ではパンチング加工で通気性を高めている。

つま先部分のアッパーとライニングの間に入れて、つま先のフォルムを形成する芯材。熱をかけ、木型の形に成形。

かかと部分のアッパーとライニングの間に入れて、木型になじませかかとの丸みを形成する。靴の形状を保持し、足を安定させる。
アッパーとライニングの間に入れて、ソフトな履き心地を実現する。
半中敷とも言われる。靴内側の底面、かかとの下に敷くパーツ。
【ボトム(底)関連】

靴の外底に使うパーツ。『スコッチグレイン』ではイタリアで鞣された革に、つま先部分にはゴムをつけている。

写真は中底のパーツを、底方向から見たもの。白い部分(リブ)にアッパーとライニング、後述するウェルトをすくい縫いするのが、グッドイヤーウェルテッド製法のやり方。

英語圏ではランド=土台といわれるが、日本では通称「ハチマキ」。かかと部のアウトソールとアッパーを繋ぐパーツで、釘で固定される。

アウトソールのかかと部底面に釘で固定される、靴のかかと。

インソール底面とアウトソールとの間、リブ内側の空間につめるパーツ。『スコッチグレイン』ではワックスを浸透させた発泡樹脂を使っている。

インソール底面とアウトソールの間、土踏まず部分に入れる硬いパーツ。靴のねじれなど抑える役割がある。

本底とウェルトを縫い付けるための上糸。

出し縫い糸(上糸)の下糸。『スコッチグレイン』ではワックスを浸透させたナイロン製を使用。

アッパー部とインソール、アウトソール部を縫い合わせるためのパーツ。

かかと部のパーツを固定する釘や、サイドラスターで使うワイヤーなど。
photographs_Takao Ohta
〇 雑誌『LAST』 issue.20 より