革靴のパーツ名称を知ろう。『スコッチグレイン』協力のもと説明。

革靴を構成する要素とは?

一足の革靴は、どんな要素で構成されているのだろうか。高い品質で評判の『スコッチグレイン』に協力してもらい、同ブランドの人気モデル「セミグローブ」のパーツを借りて説明する。

パーツを見てわかるのは、靴として外側から見えているのは、靴の構成要素としてはほんの一部だということ。ここではさらにその内側を探っていく。

アッパーに仏アノネイ社「ベガノ」を使い、スマートなセミスクエアトウのラストを採用したセミブローグオックスフォード。『スコッチグレイン』でも人気のモデルという。税込 ¥46,200(スコッチグレイン銀座本店 tel. 03-3543-4192)
木型(ラスト)
人の足の形状をもとにしてつくられた、靴をつくるための型。木製ではないが通称「木型」。

靴は大きく分けてアッパーとボトムで出来ている。

【アッパー(甲革、靴上部)関連】

アッパー(甲革)
靴(片足)の上部外側を構成する革のパーツ。フランス・アノネイの革を使用。
ライニング
靴上部の内側、足と接する面を構成する革のパーツ。『スコッチグレイン』ではパンチング加工で通気性を高めている。
トウパフ(先芯)
つま先部分のアッパーとライニングの間に入れて、つま先のフォルムを形成する芯材。熱をかけ、木型の形に成形。
ヒールカウンター(月型芯)
かかと部分のアッパーとライニングの間に入れて、木型になじませかかとの丸みを形成する。靴の形状を保持し、足を安定させる。

【ボトム(底)関連】

アウトソール(本底)
靴の外底に使うパーツ。『スコッチグレイン』ではイタリアで鞣された革に、つま先部分にはゴムをつけている。
インソール(中底)
写真は中底のパーツを、底方向から見たもの。白い部分(リブ)にアッパーとライニング、後述するウェルトをすくい縫いするのが、グッドイヤーウェルテッド製法のやり方。
ランド(はちまき)
英語圏ではランド=土台といわれるが、日本では通称「ハチマキ」。かかと部のアウトソールとアッパーを繋ぐパーツで、釘で固定される。
ヒール
アウトソールのかかと部底面に釘で固定される、靴のかかと。
フィラー(中物)
インソール底面とアウトソールとの間、リブ内側の空間につめるパーツ。『スコッチグレイン』ではワックスを浸透させた発泡樹脂を使っている。
シャンク
インソール底面とアウトソールの間、土踏まず部分に入れる硬いパーツ。靴のねじれなど抑える役割がある。
出し縫い糸(上糸)
本底とウェルトを縫い付けるための上糸。
出し縫い糸(下糸)
出し縫い糸(上糸)の下糸。『スコッチグレイン』ではワックスを浸透させたナイロン製を使用。
ウェルト
アッパー部とインソール、アウトソール部を縫い合わせるためのパーツ。
釘類
かかと部のパーツを固定する釘や、サイドラスターで使うワイヤーなど。

photographs_Takao Ohta
〇 雑誌『LAST』 issue.20 より


タイトルとURLをコピーしました