革靴と生活していく上で、必要な「道具」がある。最近関心が高まっているケアや磨き以上に大切ともいえる、ふたつのアイテムをここで取り上げよう。
「Shoe Tree(シューツリー)」と「Shoehorn(シューホーン)」の知っておくべき重要性
【Shoe Tree(シューツリー)】
靴とはその靴をつくる際に使われた木型の残像であり、その残像は革の形状記憶性に依拠する。残像を保つ行為をしなければ、形状は変化してしまう。履いている際に靴中に足があることで形を保っている、という意見もあるだろう。ただ靴の中で足は発汗している。その夥しい水分は靴を脱いだ後空気中に発散され、その際革は伸縮する。つまり履いていない時間こそ、形を保つことが重要なのだ。シューツリーはその靴の木型形状に近いほうがいいが、最大公約数的な形状のものでも、型崩れ防止には有効である。
【Shoehorn(シューホーン)】
もうひとつの革靴にとってなくてはならない重要な道具は「シューホーン(靴べら)」。ビスポークの靴を筆頭に、足の形に合った木型の靴ほど、シューホーンをきちんと使って履く、靴に大きな負担をかけず足を中に収めることが重要である。シューホーンを使わず強引に足を靴に入れようとすると、トップラインやヒールカウンターが変形ないしは壊れてしまう原因となる。そして、靴の脱ぎ履きが多い日本のライフスタイルの場合、自宅などに置くものの他、携帯用のシューホーンは持っておきたい。
photographs_Takao Ohta
〇LAST issue17 より