シューツリーとシューホーン。革靴にとってなくてはならないもの。

革靴と生活していく上で、必要な「道具」がある。最近関心が高まっているケアや磨き以上に大切ともいえる、ふたつのアイテムをここで取り上げよう。

「Shoe Tree(シューツリー)」と「Shoehorn(シューホーン)」の知っておくべき重要性

【Shoe Tree(シューツリー)】
靴とはその靴をつくる際に使われた木型の残像であり、その残像は革の形状記憶性に依拠する。残像を保つ行為をしなければ、形状は変化してしまう。履いている際に靴中に足があることで形を保っている、という意見もあるだろう。ただ靴の中で足は発汗している。その夥しい水分は靴を脱いだ後空気中に発散され、その際革は伸縮する。つまり履いていない時間こそ、形を保つことが重要なのだ。シューツリーはその靴の木型形状に近いほうがいいが、最大公約数的な形状のものでも、型崩れ防止には有効である。

『AS プレミアムシューツリー マットブラック』は、頑丈なメイプル材を使用。ツインチューブで靴の前後方向にしっかりとテンションを加えて、シワを伸ばし、型崩れを防ぐ。甲の高さを抑えた立体的なボディ形状は、主に甲が薄く細身なラストでつくられた、各種インポート シューズにマッチするという。38/39から46/47までの5サイズ展開だが、サイズはあくまで目安として靴にあわせて選ぶことが重要だ。¥9,350〔税込〕(荒川産業 tel. 03-3874-8191)
荒川産業のオリジナル『AS プレミアムシューツリー サンデッドビーチ』はバネを内蔵したサイドスプリット構造で、ボールジョイント周辺に適度なテンションを与え、なおかつ幅広いワイズに対応している。素材は耐久性に優れたドイツ産ビーチ材で、サンデッド加工で仕上げて吸湿性を高めている。英国靴を始め、サントーニ、スコッチグレイン、パラブーツ等と相性良い形状。¥9,350〔税込〕(荒川産業)

【Shoehorn(シューホーン)】
もうひとつの革靴にとってなくてはならない重要な道具は「シューホーン(靴べら)」。ビスポークの靴を筆頭に、足の形に合った木型の靴ほど、シューホーンをきちんと使って履く、靴に大きな負担をかけず足を中に収めることが重要である。シューホーンを使わず強引に足を靴に入れようとすると、トップラインやヒールカウンターが変形ないしは壊れてしまう原因となる。そして、靴の脱ぎ履きが多い日本のライフスタイルの場合、自宅などに置くものの他、携帯用のシューホーンは持っておきたい。

『ピースオブペタル』シューホーンは、携帯用のブラス(真鍮)シューホーン。外出時に靴の脱ぎ履きが生じやすい日本では、ぜひ用意しておきたい。金属製の携帯シューホーンは概して薄くて硬さもあって使いやすく、さらにポケットやカバンに入れておいてもかさばらないのでお薦め。中でも真鍮素材は使うことによって変化が出てそれが味にもなるので、 紳士らしいアイテムといえる。合皮製カバー付属。¥1,320〔税込〕(荒川産業)
『ミラノレザーシューホーン』は、イタリア製の革巻きロングシューホーン。ロングサイズのシューホーンは、 靴を履く際に立ったままでも使うことができるので、是非とも常備しておきたい。使用の際にしなったりすることがなく、なおかつ足入れの邪魔にならない厚みが望ましい。こうした革巻きのものは使用を重ねるごと滑りなどもよくなり、なおかつ玄関に置いてあっても見苦しくないのでお薦めだ。¥11,000〔税込〕(荒川産業)

photographs_Takao Ohta
〇LAST issue17 より


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